山根前会長“クロ”認定 「奈良判定」審判員から確証…「アスリート助成金」は事実
日本ボクシング連盟の山根明前会長(78)らによる不正行為について調査していた第三者委員会は28日、日本連盟に調査結果を報告するとともに、都内で会見を開いた。山根前会長を含め関係者に聴取し、最終的に助成金流用や審判員の不正判定疑惑について、山根前会長の関与を認定した。
今夏、お茶の間に衝撃を与えた山根前会長の疑惑が、第三者委によって次々と事実認定された。代表的なのが、特定の選手に優位な判定を求めて審判に圧力を掛けたとされる“奈良判定”だ。50人超の審判員にアンケートした結果33人から回答があり、10件近くについて確証を得たという。
接戦になると山根氏の息が掛かっている側に有利な判定を強いられた。審判がダウンを取ろうとした際、山根氏が「スリップ」と叫ぶと、そう判断した。一部の審判からは「試合内容が明らかだとホッとする」「どっちかな?という場合は会長が気に入っている選手のパンチが多く当たっているように感じる」など生々しい証言が寄せられたという。
また、アスリート助成金において、対象者でない2人の選手も含め分配した点については「山根前会長による助成金の分配の指示があった」と認定。試合用グローブを1社に独占販売させ、利益を取得したのではないかという疑惑にも「収益の一部は山根前会長が個人的に収受した可能性がある」と指摘した。
ただ、今回の調査では刑事告訴するような案件はないとした。それでも日本連盟は今後、山根氏の除名を検討する可能性もある。
梶谷剛委員長(81)は「山根明という特異な人物が長年にわたって連盟を支配していたことを強く感じた」と総括。「山根氏は『自分ほどボクシングに愛のある者はいない』と言っていたが、それは気に入った選手、関係ある団体に対する偏愛であり、真のボクシング愛とは言えないのではないか」と断罪した。