柔道女王の阿部詩“回転式キムラロック”が反響「色んな人からすごいと」

 9月にバクーで行われた柔道の世界選手権で金メダルを獲得した、女子52キロ級の阿部詩(18)=兵庫・夙川学院高=が4日、神戸市中央区の同校で大会の報告会に出席。中高の全校生徒450人から祝福を受け、「自分の中では大きい目標だったんですけど、実際に出てみたら普通の国際大会とあまり変わらないなと思って、落ち着いて試合をすることができた」と振り返った。

 初の大舞台は「自分が思う以上の力を出せた」と胸を張るように、結果を出しながら恐るべき進化を見せた。前年女王の志々目愛(了徳寺学園職)から内股で一本勝ちした決勝もさることながら、強烈なインパクトを残したのが、当時世界ランク1位の難敵であるブシャール(フランス)との準決勝だ。

 阿部の袖釣り込み腰を耐えて中途半端な姿勢で崩れた相手の立ち際、迷わずにキムラロック(腕がらみ)を決めると、そのまま後ろに3回転しながら追い込んで参った(タップ)を奪う美技で一本勝ちした。阿部と言えば切れ味鋭い投げ技というイメージが強いが、あまりにも鮮やかな関節技でのフィニッシュはインパクト抜群だった。

 隅返しのように寝技に移行する技術を自己流にアレンジしたものだといい、「あれは結構得意なんです」。高校生の試合で決めたこともあった技だが、「やっぱり世界選手権の反響はすごい。色んな人から『すごいな。あれは』『何あれ?』って言われる」と周囲の反応を告白し、「何あれって言われても、腕がらみって技やけど(笑)」とおどけてみせた。

 元々寝技は苦手だったが、出稽古を繰り返しながら大舞台で一本勝ちできる武器に磨き上げた。夙川学院高の松本純一郎監督は「負けから学んで強くなるところが彼女の強さ」と目を細めた。

 世界女王となり、次戦のグランドスラム大阪(11月24~25日)で優勝すれば来年の世界選手権代表に内定する。ただ、過去3戦全敗の角田夏実(了徳寺学園職)も出場するだけに、阿部は「そこ(角田戦)に勝たないと自分の成長が見せられない。ずっと負けている相手なので、次こそは絶対に負けは許されないと思っています」と雪辱を誓った。

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