貴ノ岩が提訴 元日馬富士に損害賠償請求2413万円 元貴乃花親方が証人で出廷も
大相撲の幕内貴ノ岩(28)=千賀ノ浦=が4日、昨年10月に元横綱日馬富士(34)から受けた暴行被害で、同氏に対し、慰謝料など2413万5256円の損害賠償を求め、東京地裁に提訴した。代理人の佐藤歳二弁護士らが都内の司法記者クラブで会見し、現役力士が異例の訴訟に踏み切った経緯など説明。1日付で日本相撲協会を退職し、貴ノ岩の師匠を務めていた元貴乃花親方(元横綱)の花田光司氏(46)の証人申請の可能性も示唆した。
昨年10月25日の暴行事件から1年近くたって、また新たな戦いが始まった。今度は民事の法廷闘争。貴ノ岩が加害者の元日馬富士を相手取り、2413万5256円もの損害賠償を求め提訴した。
代理人の説明によれば、請求額の内訳は慰謝料500万円のほか、事件がなければ得られた逸失利益として給与や懸賞金、巡業手当などが含まれる。
昨年暮れに元日馬富士側から示談の申し入れがあり交渉。今年3、6月の協議では貴ノ岩側3000万円の提示額に対し、相手は30万円と100倍の開きがあった。8月、東京簡裁に民事調停の申し立て。9月26日に第2回調停の予定を元日馬富士側が欠席した。話し合いの解決を断念した。
元日馬富士は昨年の秋巡業中、鳥取市内にあるラウンジの個室で、貴ノ岩の頭部をカラオケのリモコンで殴るなどし、約12日間のケガを負わせた。
代理人は「法外」な請求額との指摘に反論。「仮にプロの投手が手首を傷つけられたら。プロ活動の影響を考えると選手生命がなくなる原因になる。貴ノ岩関は引退も視野に入れるぐらい。相手側とは考え方が違う」と正当性を主張した。
師匠だった元貴乃花親方が1日付で退職。事件を巡って提出した告発状(後に取り下げ)の内容が事実無根だと認めるよう、協会の役員から圧力を受けたことを理由とした。9月25日の引退会見では協会側と争う考えを否定していたが、元弟子の裁判に無関係とは考えにくい。
代理人は「認否いかんによっては。争われれば、お互いに証人申請をする。当然、関係者の中にはそういう方々(元貴乃花親方、貴ノ岩)も出てくる」と、元貴乃花親方が証人として出廷することを示唆。協会側に対する証人申請も「展開としてはありえる」と否定しなかった。今後の訴訟次第では『貴乃花VS協会』再燃の不気味さも漂ってきた。