輪島さんらしく黄金色の“破天荒葬” 黄金のカーペットと勝ち星数673個の風船で
大相撲の第54代横綱輪島で、8日に下咽頭がんなどの影響による衰弱のため70歳で死去した輪島大士さん(本名輪島博)の葬儀・告別式が15日、都内の青山葬儀所で営まれ、日本相撲協会の八角理事長(元横綱北勝海)、プロ野球巨人の次期監督就任が決定的な原辰徳氏ら約300人が参列した。代名詞の「黄金の左」にちなみ、出棺時には黄金のカーペットが敷かれ、通算勝ち星と同じ673個の黄金の風船が舞う、ド派手な最後の別れ。親交の深かった好角家のデーモン閣下が“悪魔の姿”で鎮魂歌をささげるなど、故人らしい“破天荒葬”で天国へ旅立った。
豪放で底抜けに明るかった輪島さんとのお別れに湿っぽいのは似合わない。出棺時、斎場に敷かれたのは、まばゆく光る25メートルもの黄金色のカーペットだ。
「黄金の左」を武器に14度もの幕内優勝を誇り、まわしも異例の金色だった。プロレス転向時も、もちろん金のパンツ。バラエティー番組で好きな女性のタイプを聞かれ「金髪」と即答したのも伝説となっている。
金こそ輪島さん。そのシンボルカラーの上に止まった霊きゅう車に、原辰徳氏、デーモン閣下らが抱いたひつぎが運び入れられた。クラクションとともに、通算の白星と同じ673個の黄金の風船が舞い上がるド派手な出棺だった。
葬儀も前代未聞。“悪魔”が鎮魂歌をささげた。親交の深かったデーモン閣下が通常通りの“悪魔の姿”で登場した。「破天荒な横綱ということで甘えさせていただいた」。作詞作曲した「千秋楽」を相撲関係の場で初めて熱唱した。
「いずれかの力士が引退する時」と考えて作った曲を、まさか輪島さんの葬儀で歌うとは思わなかった。しかし「あかね差す日輪はまばゆく」という歌詞は輪島さんを思って入れた。「歌った瞬間は遺影を見た」と不思議な縁に心が震えた。「破天荒と言われるけど、近代を相撲界に持ち込んだ最初の横綱」と、功績をたたえた。
喪主を務めた留美(るみ)夫人が、出棺前のあいさつで感謝を述べた。
「主人は大きくて優しくて強い人でした。自由で自由すぎて大丈夫かと思うことばかりでした。最期は自宅のソファで、テレビを見ながら座ったまま亡くなっていました。ご迷惑をおかけすることも多かった人生ですが、最期は一人で誰にも迷惑をかけず、静かにとてもいい顔で眠っておりました」
最後までクスリと笑顔にさせて、なごませて…。輪島さんらしい旅立ちだった。