気配りの人・愛ちゃん 友好担った日本、中国、台湾のファンに別々報告

 卓球女子で“愛ちゃん”の愛称で親しまれたロンドン、リオデジャネイロ五輪メダリストの福原愛(29)=ANA=が21日、自身のブログを更新し、現役引退を発表した。リオデジャネイロ五輪後は競技を休養し、台湾の江宏傑選手と結婚。第一子となる長女も誕生していた。「選手としての立場を、ここで一区切りつけることを決意しました」と、東京五輪まで2年を切る中で、第一線から退くことを表明した。

 3歳から卓球を始めた福原は、“天才卓球少女”として名を馳せ、テレビ番組にも出演。“泣き虫愛ちゃん”として人気となり、卓球での実力も伴うことによって、国民的ヒロインとなった。05年からは中国の超級リーグに参戦。中国合宿も定期的に行い、卓球大国の現地でも人気者になった。国際大会の度に中国メディアに、流ちょうな中国語で答える福原の姿があった。「最も親しみのある日本人」として、さまざまな日中交流の親善大使などを務めた。16年に台湾の人気選手、江宏傑と結婚すると、台湾でも話題の人に。卓球を通じて、アジアの友好の象徴的な立場を担った。

 引退も日本、中国、台湾、それぞれに別の形で報告した。日本のファンにはブログで「福原愛選手と呼ばれることよりも、卓球の愛ちゃん、と呼んでくれる方の方が多く、小さい頃から日本全国の皆様からの温かい応援や励ましをいただき、育ててもらいました。初対面の方にも『大きくなったねえ』と言われることも多かったです」と、“泣き虫愛ちゃん”だった頃からの思い出を綴った。

 中国のファンには、中国版ツイッターの「微博」に、中国語で5歳の頃に初めて中国に行って練習したときの思い出を綴り、「毎朝食べる油条(中国の揚げパン)が本当に美味しくて、今も覚えています」と記した。台湾のファンにはフェイスブックで報告。「嫁いでくる私に、皆さんは無条件で本当によくしてくれました」と、感謝を綴った。

 それぞれの国に、思い出と共に、ラケットを置く報告を行った。気配りの人、福原らしい引退発表だった。

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