愛ちゃん引退 アジアが惜しむ 報告に中国で57万件、台湾で4万件の“エール”
卓球女子で“愛ちゃん”の愛称で親しまれたロンドン、リオデジャネイロ五輪メダリストの福原愛(29)=ANA=の突然の引退発表から一夜明けた22日、アジア友好の象徴を担ったヒロインの決断に、日本だけでなく縁のある国々で大きな話題となった。
福原は日本のファンに向けてはブログで、05年から超級リーグに参戦するなど縁の深かった中国ファンには、中国版ツイッターの「微博」で、16年に結婚した夫・江宏傑の母国で、生活拠点を置く台湾のファンにはフェイスブックで、それぞれ別の文面で引退の報告を行ったが、いずれにも「いいね!」やコメントが殺到した。
ブログには7000件を超える「いいね!」がつき、「お疲れ様でした!」や、「ありがとう愛ちゃん!」などのねぎらいのコメントが多く寄せられた。
「微博」にはなんと中国のファンから57万件超えの「いいね!」がつき、7万を超えるコメントが殺到。「永遠に最も大好きな日本人」、「寂しい。大好き!」など、その存在の大きさを改めて浮き彫りにした。台湾のファンに向けたフェイスブックにも、4万人が反応。「台湾はこれからもずっと愛のファンでいる」と、多くのエールが寄せられた。(数字は22日17時現在)。
福原は21日夜に、自身のブログを更新し、現役引退を発表。リオデジャネイロ五輪後は競技を休養し、台湾の江宏傑選手と結婚。第一子となる長女も誕生していたが、「選手としての立場を、ここで一区切りつけることを決意しました」と、東京五輪まで2年を切る中で、第一線から退くことを表明した。
3歳から卓球を始めた福原は、“天才卓球少女”として名を馳せ、テレビ番組にも出演。“泣き虫愛ちゃん”として人気となり、卓球での実力も伴うことによって、国民的ヒロインとなった。05年からは中国の超級リーグに参戦。中国合宿も定期的に行い、卓球大国の現地でも人気者になった。国際大会の度に中国メディアに、流ちょうな中国語で答える福原の姿があった。時に中国選手の通訳を福原がかってでることも。「最も親しみのある日本人」として、さまざまな日中交流の親善大使などを務めた。16年に台湾の人気選手、江宏傑と結婚すると、台湾でも話題の人に。卓球を通じて、アジアの友好の象徴的な立場を担った。
引退発表は気配りの人、福原らしいやり方だった。日本、中国、台湾、それぞれに別の形で報告。日本のファンにはブログで「福原愛選手と呼ばれることよりも、卓球の愛ちゃん、と呼んでくれる方の方が多く、小さい頃から日本全国の皆様からの温かい応援や励ましをいただき、育ててもらいました。初対面の方にも『大きくなったねえ』と言われることも多かったです」と、“泣き虫愛ちゃん”だった頃からの思い出をつづった。
中国のファンには、中国版ツイッターの「微博」に、中国語で5歳の頃に初めて中国に行って練習したときの思い出をつづり、「毎朝食べる油条(中国の揚げパン)が本当に美味しくて、今も覚えています」と記した。台湾のファンにはフェイスブックで報告。「嫁いでくる私に、皆さんは無条件で本当によくしてくれました」と、感謝をつづっていた。