今月２１日に自身のブログで現役引退を表明した、卓球女子・ロンドン、リオデジャネイロ五輪メダリストの福原愛（２９）が２３日、都内で報道陣の取材を受けた。３才から卓球を始め約２６年間、１番の思い出は五輪でメダルをとった際の「皆さんの笑顔です」と答え、どこまでも日本国民の期待や応援を背負い続けた“愛ちゃん”だったことをうかがわせた。言葉に詰まる場面はあったものの、涙はなく、新たなスタートへ向けた笑顔の会見となった。

　当初はリオ五輪から２年が経過していることからブログのみの報告とする予定だったが、反響の大きさから自分の口で改めて報告することを選んだ。「選手生活を一区切りつけるという発表してからは、いろいろな人からお疲れ様と言っていただいたりして。すごく気持ちが軽くなりました。やっと皆様にお伝えすることができたので、今はとても晴れやかな気持ちです」などと語った。

　「毎日のように気持ちが変わったり、やっと決まったと思っても１週間たった時に、あれ、何か違うなと思ったりして」とリオ五輪後には葛藤があったという。決め手となったのは、「自分中心ではなく、一歩引いて、卓球界のこととかいろいろなことを考えた時に、今回のような答えがストンと出てきた」こと。今年５月ごろに自身の中では考えが「じわじわ出てきた」というが、周囲に言葉として発するまでに勇気が必要で発表まで時間を要したという。幼少期から卓球の指導を受けた母からは結論を出した後で報告し、「お疲れ様でした」そして、「リラックス」と声をかけられたと明かした。

　競技生活で一番印象に残っているのは「初めて全日本選手権で優勝した時に表彰台から見えた景色と…。あとはロンドンオリンピック、リオのオリンピックでメダルを獲得して、皆さんにお見せした時に、喜んでいただいている皆さんの笑顔です」と応援してくれた人々のことを挙げた。

　昨年出産した長女が卓球をやりたいと希望した場合には「もし本人が選んだ道であれば、全力で応援したいなと思っています」と語ったが、「本人にばれないうちは、私が卓球選手だったことは内緒にしたいなと思っています」と明かした。「（娘が）小学生とかぐらいになった時に温泉卓球に行って、いきなりスマッシュとかをして、『なんでお母さんできるの？』みたいなことを、ちょっとやりたいなと思っていて」という夢も語った。

　ファンへ向けては、「本当に小さい頃から皆さんに、日本中の皆様に支えていただき、応援していただき、愛ちゃん、愛ちゃんというふうに呼んでいただいて、たくさんのパワーを私がいただきました」と告げると、数秒間、こみ上げる思いからか考えを巡らせた。そして、「もうコートに立つことはないかもしれませんが、皆様からいただいたパワーを、今度はまた別の形で卓球界やスポーツ界に貢献していきたいと思っていますので、これからもよろしくお願いします」と頭を下げた。

　福原は２１日のブログで、「私は選手としての立場を、ここで一区切りつけることを決意しました」と現役引退を報告。その理由を、後輩たちの成長を受け、「私が選手としてできることはやり切った、頑張り抜いた、という思いが強くなり、自分が選手としての立場でやるべき使命は果たせたかな、と感じるようになりました」などと説明していた。