奥野、53キロ級V “沙保里2世”アジア大会の雪辱果たした
「レスリング・世界選手権」(25日、ブダペスト)
女子50キロ級の須崎優衣(早大)と53キロ級の奥野春菜(至学館大)の19歳コンビが、ともに2大会連続の金メダルを獲得した。昨年の48キロ級覇者、須崎は決勝でリオデジャネイロ五輪48キロ級2位のマリア・スタドニク(アゼルバイジャン)に快勝。奥野も米国選手を破り、昨年の55キロ級に続き頂点に立った。
女子53キロ級決勝で前日に左肘を痛めた奥野は「ここぞって時にしっかり取りたかった」と好機を狙っていた。テープを5重に巻いて臨んだ決勝。左手を前に置く左構えのレスラーが、勝負を決めにいったのは残り1分を切った場面だった。
初めて正面からタックルに入って倒すと、アンクルホールドも決めて8-0。相手の息の根を止め、11-0でテクニカルフォール勝ちした。
金メダルが期待された8月のアジア大会は3位。マットに上がるのが怖くなり「手が氷のように冷たい」状況に陥った。「この2カ月は自分の弱さと向き合って、妥協しないでやってきた」と人知れず葛藤もあった。
五輪3連覇を果たした吉田沙保里(至学館大職)の父、栄勝さん(故人)の指導で成長した“吉田2世”は言う。勢いで頂点に駆け上がった昨年と違い「欲しがって勝った」。非五輪階級の55キロ級を制した至学館大の先輩、向田が東京五輪代表争いのライバルになるが「入学当初より近づいた実感はある」とも言う。2年連続の世界一で、自信は深まった。