三宅会長のパワハラ認定せず 元選手は告発に困惑「静かにしておいてほしかった」

 日本ウエイトリフティング協会は28日、都内で会見し、三宅義行会長(73)のパワハラ疑惑に関する調査について報告した。三宅会長の元女子選手に対する「コップを投げつけた」「練習場を出て行けと言った」「合宿中の食事後、『俺にあいさつもないのか』と言った」という行為3点について、いずれもパワハラとは認定しなかった。

 騒動は9月の常務理事会で古川令治常務理事が、2015年にあったとされる三宅会長のパワハラ疑惑を議題にあげたことに端を発したもの。当時、日本代表だった元女子選手に対し、女子代表監督だった三宅会長が“試技中にコップを投げつけた”“食事の際にあいさつがなかったとし怒鳴るなどの行為があった”などと主張。さらに三宅会長がそれを隠ぺいしたと指摘していた。さらに古川常務理事はそれを一部夕刊紙に告発した。協会はコンプライアンス委員会で問題を調査していた。

 また、コンプライアンス委員会は元女子選手に対してパワハラの申し立てを行うかどうかについて確認したものの、元女子選手は意思がないことを明確に表明した。女子選手側は「なぜこういう形で(この件が)オープンになったのか、驚いている。静かにしておいてほしかった」と、話しているという。告発者の古川常務理事はこの日、理事会を欠席した。

 調査報告によると、コップについては、女子選手に向けてではなく、ゴミ箱に向けてで、ガラスや金属製ではなく、紙コップだったという。ただ、元女子選手は監督に対して、精神的ストレスを感じていた経緯があり、三宅氏の行為をパワハラとは認定しないものの、「無用な心理的混乱や、精神的ストレスを与える行為」と指摘した。

 合宿からの追放については、元女子選手が「合宿に参加しなくてよい」という否定的な言動があったという主張があったという一方で、三宅氏側は「否定的な言動をしたことはない」と否定した。元女子選手側が全日本チームの練習とは異なる個性的な練習法を取り入れていることもあり、練習に対する価値観のズレがあったという。報告書では「十分な配慮があったとは言わないが、パワハラに認定するまでには至らなかった」と、結論づけられた。

 あいさつについては、言動については認定したものの、元女子選手側も「自分に勘違いがあり、あいさつできなかった」と話しており、「パワハラと認定することはできない」とした。

 また、隠ぺいについては、当時、三宅氏と当時の専務理事、元女子選手の指導コーチ、所属会社の社長の四者協議が行われており、「本人不在で一方的に協議を進めようとした事実はない」とした上で、理事会への報告がなかった点を「組織運営上、問題があったというべき」と、指摘した。

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