日本救った内村航平の覚悟「命を懸ける」右足引きずりながら魂の演技で五輪死守

 「世界体操・男子団体総合、決勝」(29日、ドーハ)

 体操の2020年東京五輪予選を兼ねた世界選手権の男子団体総合決勝が行われ、16年リオデジャネイロ五輪金メダルで2連覇を目指す予選3位の日本は、253・744点で3位だった。連覇は逃したが、全競技を通じて初めての自力での五輪切符を獲得した。中国が256・634点で2大会ぶりの優勝。ロシアが256・585点で2位だった。

 予選からの嫌なムードも、断ち切れそうになった流れも、なんとかしてしまうからこその大黒柱だ。9月に発症した右足首の故障により、床と跳馬の演技ができない主将の内村航平(29)=リンガーハット=だったが、右足を引きずりながらも渾身の演技を見せ、五輪切符死守の立役者となった。

 「僕が流れを作らないと今日はグダグダになってしまいそうだった。命を懸けるぐらいの意気込みだった」。

 予選では自身を含め3人が落下したあん馬からのスタート。最初の演技者を託されると、安定感抜群の演技で14・133点をマーク。日本の3人の中でトップの得点を稼ぎ流れを作った。続くつり輪でも出来栄えを示すEスコア8・5点の美しい演技で日本トップの14・200点。完全に日本を勢いにのせた。

 だが、平行棒で第1演技者の田中がまさかの落下。優勝を争う中で痛恨のミスとなったが、直後の内村がほぼ完ぺきな演技でリカバー。再び流れをつないだ。最後の出番となった鉄棒でも貫録の演技で、日本トップの14・400点。「目指していた色ではないけど、最低限はクリアできた。でもやっぱり団体は面白いですね。また新しい色が増えた」と、ホッとした表情で汗を拭った。

 15年世界選手権、16年リオ五輪と守り続けてきた団体世界王座からは陥落。1位中国、2位ロシアとの得点差は約3点。それぞれミスが出ての結果だけに、この得点差は現状の力差とみていい。「ここからどう中国、ロシアとの差を埋めていくか」。集大成となる20年東京五輪で再び日本が頂点に立つために、内村はまだまだ柱であり続ける。

関連ニュース

編集者のオススメ記事

スポーツ最新ニュース

もっとみる

    主要ニュース

    ランキング(スポーツ)

    話題の写真ランキング

    写真

    リアルタイムランキング

    注目トピックス