貴ノ岩が元日馬富士への提訴取り下げ 家族ら猛バッシング受け…治療費など自己負担

 大相撲の元横綱日馬富士から暴行被害を受けた幕内貴ノ岩(28)=千賀ノ浦=が慰謝料など約2400万円の損害賠償を求めた民事訴訟で、貴ノ岩側は30日、提訴を取り下げた。代理人を通じ、母国モンゴルで家族らが猛バッシングを受けたことを理由とし、治療費など一切は自己負担すると説明した。昨年10月末に事件が起きて1年、師匠だった元貴乃花親方も協会を退職しており、角界を揺るがした騒動は完全収束となった。

 突然の幕引きだった。この日、貴ノ岩が代理人を通じ、提訴の取り下げを発表した。10月4日に司法記者クラブで民事訴訟に踏み切る会見まで開催。慰謝料や治療費、事件がなければ得られた給与や懸賞金など約2400万円にも上る巨額の賠償を求め、強気に正当性を主張していた原告側が一転、争うことなく“白旗”を上げた。

 貴ノ岩は週刊誌に「法外なお金を請求」といった趣旨の記事が掲載されたことで、「モンゴルでは私に対する想像を超える強烈なバッシングが始まり、私の家族もモンゴルで非常につらい目に遭うことになりました。家族から何度も耐えられないとの連絡があり、裁判をやめてくれとの要請がありました」と文書で説明。賠償を求めず、治療費など一切を自己負担するとした。

 元日馬富士は昨年11月、事件の責任を取って引退。事件を巡っては貴ノ岩の師匠だった元貴乃花親方(元横綱)が内閣府に提出した告発状(後に取り下げ)の内容が事実無根だと認めるよう、日本相撲協会の役員から圧力を受けたことを理由に、協会を退職した。

 先場所後に貴乃花部屋が消滅。この日は移籍した千賀ノ浦部屋の稽古が福岡県糟屋郡で始まり貴ノ岩も九州場所(11月11日初日)へ向け始動した。力士会後、取材に応じ「発表した通りです」と多くは語らなかった。

 泥沼闘争と思われた訴訟が第1回口頭弁論を前に“肩すかし”。とはいえ、昨年の九州場所以降、角界を揺るがし続けた事件が九州場所を前に収束した。

関連ニュース

編集者のオススメ記事

スポーツ最新ニュース

もっとみる

    主要ニュース

    ランキング(スポーツ)

    話題の写真ランキング

    写真

    リアルタイムランキング

    注目トピックス