体操男子個人総合23年ぶりメダルなし 白井健三の爆発力消した“魔の床”

 「体操 世界選手権」(31日・カタール、ドーハ)

 男子個人総合決勝が行われ、日本から出場した昨年銅メダルの白井健三(22)=日体大=が84・531点で7位、萱和磨(21)=順大=は84・765点の6位に終わり、表彰台には届かなかった。日本が派遣を中止した2001年大会を除き、世界選手権個人総合で日本男子がメダルを逃すのは95年大会以来、23年ぶり。一昨年まで6連覇していたエースの内村航平(29)=リンガーハット=が右足首の負傷で個人総合出場を断念する中、伝統をつなげなかった。アルトゥール・ダラロヤン(ロシア)が87・598点で金メダルを獲得した。

 “お家芸”の伝統がついに途切れた。大黒柱の内村を怪我で欠き、次代のエース候補2人で臨んだ日本男子だったが、萱が6位、白井が7位。団体に続き、充実期を迎えているロシア勢、リオ五輪後に世代交代に成功した中国勢の壁が立ちはだかった。

 2大会連続メダルの期待が懸かった白井は、得意の床で“爆発力”を奪われたことが響いた。最初の種目となった得意の床で、トップの14・900点をマーク。幸先のいいスタートに見えるが、銅メダルを獲得した昨年大会では、15・733点を叩きだしていた。これは全種目におけるトップスコアで、床だけで他の選手を1点以上リードしていた。

 大会ごとに違うメーカーの器具となる体操の世界選手権。今大会で使用された中国製の「泰山(タイシャン)」の床は、日本製よりも硬く、跳ねず、多くの選手が苦戦していた。白井自身も「最初は開いた口がふさがらなかった。芝生みたいな感じ。命に関わる器具だと思った」と印象を口にし、昨年、床の世界女王となった村上茉愛も「去年(フランス製ジムノバ)に比べると硬い。跳ね返りがない」と話していた。特に筋力ではなく、タイミングや感覚で跳ぶ日本選手には影響が大きく、白井も今大会では難度を示すDスコア(演技価値点)を本来の7・2点から6・8点へと下げることを余儀なくされた。

 他の上位選手が安定して14点台を並べる中、あん馬、つり輪というまだトップレベルと差のある種目を持つ白井にとって、最大の“武器”を封じられたことは痛恨となった。

 白井は2日の種目別床では3連覇の期待が懸かる。“魔の床”を攻略し、さらなる進化への糧とできるか。

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