五輪王者ベイカー茉秋、涙の復活V「リオ五輪よりうれしい」
「柔道・講道館杯全日本体重別選手権」(4日、千葉ポートアリーナ)
19年世界選手権代表第1次選考会を兼ねて行われ、男子90キロ級はリオデジャネイロ五輪金メダリストのベイカー茉秋(24)=日本中央競馬会=が初優勝を飾った。次の選考につながるグランドスラム大阪(23~25日)への出場権も獲得し、東京五輪代表争いにしっかり踏みとどまった。
久々に表彰台の頂点に立ったベイカーは「リオ五輪が終わってから初めての優勝なのですごくうれしい」と目に涙を浮かべ、「この優勝は僕の中ではリオ五輪(の優勝)以上にうれしいというか、リオは右肩上がりできての優勝だったので。(今回は)一度どん底を見ての優勝なので、また格別の思いがある」と喜びをかみしめた。
昨年4月に右肩を脱臼し、手術した。約半年のリハビリを経て今年2月に実戦復帰したものの、8月のアジア大会は直前の合宿で左肩を負傷した影響もあり3位に終わった。
国内の代表争いでも2番手に甘んじ、世界選手権は2年続けてテレビで観戦。「情けないしつらいことが多かった。リオ五輪はもう過去のことなので捨てて、自分は挑戦者だと常に頭に入れながら練習していた」と裸一貫の気持ちだった。
この日も「状態は80~90%」と調子は万全ではなかったが、勝負所で執念を発揮した。決勝は先に技ありを取られる苦しい展開となったが、試合終了30秒前に大内刈りで技ありを取り返すと、延長戦で小外刈りで技ありを奪い、合わせ技一本で逆転勝ち。「挑戦することで勝ち取れるものもあるとあらためて感じた。しんどい試合ばかりだったが、その中で勝ち取った優勝は大きい」と大粒の汗をぬぐった。
2連覇を目指す東京五輪の代表争いに名を連ね、「やっとスタートラインに立てた。まずは1つ1つ(の試合)です」と気合。まずは次のGS大阪に向けて、「優勝して『ベイカーがカムバックしたんだ』と思われるようにしたい」と完全復活を誓った。