内村、納得の銀 痛みこらえ着地止める 日本は11年ぶり「金」なし
「体操・世界選手権」(3日、ドーハ)
種目別決勝後半が行われ、男子鉄棒で2015年大会以来の頂点を狙った内村航平(29)=リンガーハット=は14・800点で銀メダルだった。エプケ・ゾンダーランド(オランダ)が15・100点で3大会ぶり3度目の優勝を果たした。男子跳馬で昨年覇者の白井健三(22)=日体大=は14・675点、女子床運動で昨年優勝の村上茉愛(22)=日体大=は13・866点でともに3位。日本勢は今大会で計6個のメダルを手にしたが、11年ぶりに金メダルはなかった。
右足首故障でいつもと違い、個人総合を戦わずに迎えた最終日。内村は「今日が東京五輪の個人総合の最終種目、鉄棒ぐらいの雰囲気でやった」と極限まで集中力を高めた。鮮やかな離れ技を次々と決め、着地は「足が取れるかと思った」という痛みをこらえて完璧に止めた。ゾンダーランドの驚異的な高得点には届かなかったが「(メダルの)色はこれでいい」と納得の演技だった。
9月の全日本シニア選手権では6種目合計で87・750点の自己ベストをマーク。その後の故障は誤算だったが、団体総合からチームをけん引したように、好調をキープしていた。「痛いけど、関係なくやる。痛みには相当強いんでしょうね」と故障しても練習量を落とさないのが内村流だ。
日本勢は金メダルなしに終わり、ライバルの強さが際立った。「ロシアや中国に出せないような味を、日本はまだ出せていない。それぞれがもっと出していかないと」。巻き返しに必要なものを、内村自身も探していく。