稀勢の里、昇進後初の初日から連敗 屈辱2日連続腹ばい…V率0%
「大相撲九州場所・2日目」(12日、福岡国際センター)
初の一人横綱を務める稀勢の里(32)=田子ノ浦=が妙義龍(32)=境川=に寄り倒しで屈し、横綱昇進後初の初日から2連敗となった。左差しを封じられ、最後は土俵下に転落。通算14個目の金星を配給した。優勝制度が確立された1909年夏以降、初日から連敗して優勝した例は1度もない。宣言した完全復活優勝どころか、15日間皆勤すら不安が漂う連敗スタート。途中休場に追い込まれれば、再び進退問題の危機に陥る。
稀勢の里が連日、屈辱の腹ばいだ。土俵際、苦し紛れの小手投げを狙ったが不発。寄り倒され、尻もち。そのまま土俵下へ一回転、横転して落下した。
風呂場では「あー!!」と絶叫。髪を直しながらの取材では立ち合い、相手のうまさなどを問われたがすべて無言。うつむいたと思えば、半笑い。ショックは明らかだった。
2年ぶり対戦となった妙義龍には6連勝中だった。お得意様に自滅と言っていい。自身の形の左差しを完ぺきに封じられ、後手に回った。脇が甘くもろ差しを許せば、相撲巧者相手に勝てるはずもない。
場所前は出稽古し、対策を練った相手。13勝2敗と圧倒したが、最初の一番でもろ差しを許し、完敗していた。
八角理事長(元横綱北勝海)は取組前、「(稽古は)最初の一番が大事。本場所も一番しかない。あとで疲れているところ何番勝っても、最初なんだよ」と不安を予告。取組後には「辛抱しなきゃ。投げ打って軽くなっちゃった。辛抱負け」とバッサリ切った。
横綱昇進後、初日から連敗は初めて。初日黒星は4度あり、すべて途中休場に追い込まれているものの2日目は4度とも勝っている。今場所が横綱として過去最悪の出だしだ。
白鵬、鶴竜が休場し、初の一人横綱の重圧がやはり自身を狂わせている。「やることは変わらない」と平常心を強調していたが、朝稽古はこの日も稽古場にシャッターを下ろし非公開。師匠の田子ノ浦親方(元幕内隆の鶴)は「自分で思うようにやりたい。集中できる」と弟子の心を代弁したが「いつも通り」ではない状況を自ら作り出している。
初日から連敗でデータ上は優勝確率0%。場所前には「優勝」宣言まで飛び出したほど、心身ともに満点に仕上げたはずだった。初日から2日で一転、暗雲しか漂っていない。
昨年、5個も金星を配給した悪夢の九州場所で通算14個目の金星を配給。3日目、平幕北勝富士(八角)に屈するようなら今年も皆勤すら危うくなる。
8場所連続休場から先場所10勝を挙げて再起した。引退危機を乗り越えたはずだったが、途中休場となれば再び進退問題が浮上することは必至となる。