貴景勝、単独トップ6連勝!元貴乃花親方へ恩返しの快進撃 連日まわし取らせぬ圧力
「大相撲九州場所・6日目」(16日、福岡国際センター)
貴乃花部屋が消滅して千賀ノ浦部屋に転籍となった小結貴景勝(22)が小結魁聖を突き落として勝利。のど輪で相手を起こし、タイミング良く体を開いて土俵にはわせた。初日からの連勝を自己最長の6に伸ばすとともに、自身初の単独トップに立った。1敗には大関高安と栃煌山、千代大龍、阿炎、大栄翔、阿武咲の平幕5人が並んでいる。
新天地で恩返しの快進撃だ。「相手の形になると勝てない」と貴景勝はいつもの低い当たりからのど輪、左に開いての突き落とし。素早い攻めでの完勝を「積極的にできた」と表情を崩さずに振り返った。
自身初の初日から6連勝で単独トップ。さらに、先場所からの連勝も自己最長の12まで伸びた。普段から星の数を意識しないことを口にしているが、この日は「相撲は6日で終わりじゃない。何も考える必要はない。自分がやろうとしていることをやっている」と強調した。
10月に元貴乃花親方が退職して師弟関係にピリオドが打たれ、転籍。激動の場所前に意識したことは長所を伸ばすこと。「がっぷりの相撲を2カ月ではできない」と、武器の突き押し相撲に磨きをかけた。
今場所は連日まわしを取らせない相撲。八角理事長(元横綱北勝海)も「前に出る圧力がついてきたから、余裕を持ってさばけている。今場所は感じているんじゃないかな。(圧力は)自然とついてくるもの、稽古をしていれば」と感心した。
苦い経験もバネになっている。今年の春場所では右足を痛めて11日目から休場。病院のテレビでライバルたちの取組を見て「こんなに見たくないものかと思った。取り残されている感覚になった」と悔しさがあふれた。「負けても頑張ってやっていく。全力を出し切れるのはありがたい」と土俵に立てる喜びを感じている。
かつての師匠、現在の師匠へ、白星を重ねて番付を上げることが何よりの恩返しになる。