プルシェンコ氏、負傷も自身の伝説プロを熱演の羽生結弦に「誇りに思う」
フィギュアスケートのGPシリーズ・ロシア杯で五輪2連覇の羽生結弦(23)=ANA=が、練習中に右足首のじん帯を損傷し、全治3週間と診断されながらも魂の演技で優勝したことを受けて、羽生の憧れの人であるトリノ五輪金メダリストの“皇帝”エフゲニー・プルシェンコ氏が18日、自身のSNSを更新。スペイン滞在中で羽生の演技を直接見ることができなかったが「本当にあなたを誇りに思う。残念ながら、私はその場にいられなかったが、早い怪我の回復を祈ってます。マイフレンド ユヅサン」と、思いをつづった。
羽生はSPで自身の持っていた世界最高記録を更新し首位に立ったが、フリーの日の公式練習で転倒し、平昌五輪前に負傷した古傷でもある右足首を再び負傷。全治3週間と診断された。欠場の選択肢もあったが、「何をしたくて、何を削るかを考えた上で今日しかないなと思った」と、強行出場を決断。転倒もあったが、冒頭の4回転サルコー、4回転トーループを完ぺきに決めるなど、全身全霊の演技で優勝を飾った。
それほど、ロシア杯に懸ける思いは強かった。フリー「Origin」は、憧れのプルシェンコ氏の伝説のプログラム「ニジンスキーに捧ぐ」をモチーフにしているプログラム。ロシアでのお披露に向けて、プルシェンコの代名詞でもあったビールマンスピンを練習し、乗り込んできていた。女子選手のような体の柔らかさが必要な同スピン。プログラムに組み込みたかったが「全部きれいにやれたらやっていい、と言われていた。できなくて悔しい」と、唇をかんでいた。羽生は「ロシアは自分の原点」と語る。子供の頃に憧れたのは、プルシェンコ氏とヤグディン氏のライバル対決。幼少期に指導を受けた都築章一郎コーチは、旧ソ連やロシアから指導法を取り入れていた。羽生にとって、この「Origin」をどこよりも披露したかったのが、このロシアの地だった。
GPファイナル、全日本の出場は羽生自身も認めるように「厳しい」状況となったが、信念を貫いた羽生の思いは、憧れ“皇帝”にも届いたようだった。