高安2敗守る…悲願の初優勝へ上昇ムード 大関らしさ「思い出した」
「大相撲九州場所・8日目」(18日、福岡国際センター)
大関高安が平幕正代を一気に押し出し、6勝目(2敗)を挙げた。パワフルな本来の当たりが戻り、中日を首位と1差で折り返し。逆転初優勝へ向け、上昇ムードで後半戦に臨む。前日、全勝が止まった小結貴景勝が平幕妙義龍を引き落として1敗を守り単独トップ。高安、平幕栃煌山、阿炎、大栄翔、碧山、阿武咲の6人が2敗で追う混戦の優勝争いとなっている。
これぞ高安の相撲だ。立ち合い、正代に体ごとぶち当たり吹っ飛ばす。突き数発で押し込み、最後は強烈なのど輪で相手はえび反り。3秒2の電車道で押し切り土俵を半周、軽やかにステップした。
竜電に不覚を取った前日から一転、この日は支度部屋で口も滑らか。「前に出ようともたもたしないで思い切っていった。やっぱり攻めないと相撲にならない」とキッパリ。大関らしい相撲だったと問われると「思い出しました」と自信をみなぎらせた。
場所前は出稽古を繰り返し、今場所好調な小結貴景勝、平幕阿武咲らと連日、30番ほど番数を重ねた。勢いある若手の押しをあえて受け止めて土俵際の粘りなどを強化した。しかし、本来は体ごとはじく圧力が最高の武器。白鵬すら警戒する豪快さが戻った。
パワーの源は旺盛な食欲。関係者によれば「最近、(大関は)小ライスの存在を知った」という。しかし店側が気を利かしてか、小さい茶碗にてんこ盛りで持ってくる。それを平らげて、今度は通常のライスを注文。「最初から大ライスを頼めよ…」と関係者はあきれたように笑っていた。
2敗をキープし、首位と1差でターン。大関3人が白星そろい踏みを高安が結びで締めた。大関陣でただ一人優勝経験がなく、初優勝は悲願。「あしたからも気を抜かずにやりたい」。横綱稀勢の里の執念や無念を最も身近で感じてきた弟弟子が九州場所の主役となる。