貴景勝が1敗死守 優勝争いトップも慢心なし「身の程わきまえて」
「大相撲九州場所・12日目」(22日、福岡国際センター)
大関対決は高安が栃ノ心を豪快な上手投げで仕留め、2桁10勝目を挙げて2敗を死守した。大関豪栄道が右上腕部を負傷し12日目から途中休場したため、今場所の番付最上位となった西正位大関が逆転初優勝を目指し、単独トップの小結貴景勝を1差ピタリと追走する。貴景勝は玉鷲を突き落として自己最多タイの11勝目で1敗を守った。2敗だった大栄翔、碧山が3敗に後退。優勝争いは貴景勝、高安の一騎打ちムードとなってきた。
博多の街は急激に冷え込んできたが、貴景勝が土俵に上がると館内の熱気がすごい。この日も優勝を待ち望む大歓声を浴びながら、玉鷲を左からの突き落としで下し、1敗を死守。「応援していただくのはすごくうれしい。客席の声は分からなかったけど」。集中して臨めている。
熱気を呼ぶ男は宿舎でも暖房を使わない。けがしたことがある足首は温めるが、「暖房は部屋についているけど(スイッチは)つけない。体温調整がおかしくなるから。一日の流れが決まっている。それに沿って」と徹底している。
支度部屋の風呂から上がり、着替えているときに2敗の高安が土俵に上がった。支度部屋の外にあるモニターで高安の勝ちを見届けたが、「あしたの相手に一生懸命いきたい」と表情を変えなかった。
優勝争いの先頭を切って迎える13日目。「そんなにうまくいかないと思っているし、しっかり身の程をわきまえて。やることを準備します」。自分の置かれた状況にうわつかない。驚くほど冷静に話した。