貴景勝痛恨2敗目「自分の相撲が取れていれば」 高安との優勝争いは千秋楽へ
「大相撲九州場所・14日目」(24日、福岡国際センター)
勝てば初優勝だった小結貴景勝は左足を滑らせ、大関高安に引き落とされて痛恨の2敗目を喫し、優勝は千秋楽に持ち越された。高安が執念の12勝目をもぎ取って追い付き、逆転初優勝の夢をたぐり寄せた。優勝は2人に絞られ、千秋楽は貴景勝が平幕錦木、高安は関脇御嶽海が相手。自身が勝ち、相手が負ければ優勝。ともに勝ちかともに負けの場合は優勝決定戦に持ち込まれる。
手にかかりかけた初優勝が“ツルリ”と逃げた。相撲は貴景勝が完ぺきに制していた。カチ上げにもひるまず、前へ出て高安を後退させた。吹っ飛ばして半身にさせて、最後の一押しと思った瞬間、仕切り線で左足が滑った。大関が向き直った時、土俵に落ちていた。
腹ばいになりながらぼう然の表情。痛恨の2敗目でついに並ばれた。支度部屋では「悲観する内容じゃない。多分そう(滑った)だと思う。感触は悪くなかった」と強がった。一方で「自分の相撲が取れていたら勝っている」と悔しがった。
「(優勝の)意識はなかった」と何度も言った。しかし、どこか雰囲気は違った。出番前、花道から土俵下の控えに入るのが遅れた。不戦の取組があったため、一つ前の取組時に入るはずが勘違い。慌てて阿武松審判部長(元関脇益荒雄)が花道まで来て、急ぐように促す場面があった。
メインイベントの直接対決を待つ館内は異様なムードに包まれていた。泰然自若の大関に対し、やや目線を泳がせる貴景勝。強心臓の22歳でも平静を貫くには容易ではない。
八角理事長(元横綱北勝海)は「互いに力を出し合った。貴景勝は押し勝っている。(千秋楽は)当然、2人で決定戦」と、熱い一騎打ちを期待した。
貴景勝は腹をくくっている。「いい形で終われるかは全部、自分次第、責任。そう簡単にはうまくいかない。そこをどうやっていくか。経験もないし、気持ちしかない。残り一日、準備をしっかりしたい」。逆境を跳ね返してニューヒーローとなる。