貴景勝、初V 元貴親方へ届けた貴魂!恩師退職&部屋消滅…激動の2カ月乗り越えて

 「大相撲九州場所・千秋楽」(25日、福岡国際センター)

 小結貴景勝が大関高安と相星で迎えた千秋楽の“一騎打ち”を制し、13勝2敗で初優勝を果たした。平幕錦木をはたき込みで下し、2敗を死守。2敗で並んでいた高安が結びの一番で関脇御嶽海にすくい投げで屈した。年6場所制となった1958年以降では22歳3カ月の初優勝は年少6位、初土俵から所要26場所は4位タイのスピード記録。

 貴景勝にとって、激動の2カ月だった。入門時の師匠、元貴乃花親方(元横綱)の花田光司氏が10月1日に日本相撲協会を退職。貴乃花部屋の消滅で千賀ノ浦部屋に移った。「僕はこれまでの稽古で強くなった。負けたら何をしているんだという話になる」。周囲の騒がしさをよそに精進。礎を築いてくれた恩人に勇姿を届けた。

 小学校4年生の時に貴乃花部屋の「子供相撲教室」に参加し、「武蔵丸とか曙と戦う時、どういう気持ちで戦ってるのか」と質問。その答えは「四股を淡々と踏めば勝てる」だった。「はぁ?何言ってんの?と小学生ながらに思った」と振り返り、「今なら少し分かる。相手じゃなくて自分とどう向き合うか」と自分なりに解釈。入門後は憧れの「平成の大横綱」によって心身を育まれた。

 徹底して鍛えられた下半身が馬力を生み出す。8月21日、元親方は夏巡業先の秋田市で倒れて救急搬送された。一時は意識を失ったが、容体が安定して問題ないことを関係者に伝え、弟子たちに相撲へ集中させた。貴景勝は「親方が眠れているか心配はしたけど、力士は頑張るしかない」と意をくみ、四股を踏み続けた。

 元親方は以前「私の意志を継いでほしい。負けても勝っても力士として誇らしく君臨してほしい」と思いを明かしていた。平幕優勝2回を誇る朝日山親方(元関脇琴錦)は「どんな状況でも表情を一切変えない。土俵に集中できる精神面の強さは、まさに貴乃花だ」と評する。波乱の1年の締めくくり。22歳の若武者が教えをつなぎ、快挙を果たした。

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