塚原夫妻のパワハラ認めず 夫妻の職務停止を解き復職決定 宮川「信じられない」
日本体操協会は10日、都内で臨時理事会を開き、リオデジャネイロ五輪女子代表の宮川紗江(19)=高須クリニック=を巡る塚原光男副会長(70)、塚原千恵子女子強化本部長(71)のパワハラ問題に関する第三者委員会の調査結果を受けて、報告会見を行った。第三者委員会は、夫妻による宮川へのパワハラを認定せず、日本協会は夫妻の一時職務停止を解き、復職させることを決定した。千恵子氏についてはパワハラは認められなかったが、不適切な言動などがあったとし、宮川への謝罪が復職の条件となった。
体操ニッポンに巻き起こった大騒動は、結局、パワハラはなかったという結論で落ち着いた。第三者委は宮川側が主張していた塚原夫妻による宮川の引き抜き、合宿中のパワハラ行為を認めず。協会は夫妻の一時職務停止処分を解き、復職させることを決定した。会見に出席した山本専務理事は「お騒がせしたことをおわびしたい」と謝罪した。
一方で第三者委の報告では、合宿中のパワハラについて「面談の行為状況、行為態様、行為内容は配慮に欠け、不適切な点が多々あった」と指摘された。山本専務理事によると、宮川と速見元コーチの関係を「宗教みたい」と話したことなどがそれにあたるという。千恵子強化本部長については「不適切という報告を受け入れて、謝罪も踏まえて対応してもらうこと」(山本専務理事)が、復職への条件とされた。
同専務理事によると、理事会に出席した光男副会長は「体操界の名誉をおとしめた。申し訳ない」と謝罪し、復職を受け入れたという。一方で主張が退けられた形となった宮川は、関係者によると「信じられない。なんで」と納得はしていない様子だったが、その後自身のツイッターで「いろいろ複雑な心境もありますが、たくさんの支えでこれからも頑張っていけそうです」とつづり、徳洲会からの練習場所の提供が決まったと報告した。
理事会の決定は協会幹部が宮川の父親に通達。宮川の父は「女子体操界がいい方向に進んでくれることを祈っている。対応については弁護士と相談する」と話したという。
第三者委の報告書には、今回の件についてガバナンス(組織統治)が機能しなかった協会への7つの提言も示された。協会側は今後、特別調査委員会、提言事項検討委員会を立ち上げ、一連の騒動の問題点と、提言実行に向けた具体的な方策を洗い出していく。