カーターMVP チームを18年ぶり日本一に導き文句なし 来日の決断「ベストだった」
日本ラグビーフットボール協会は16日、都内でトップリーグ年間表彰式を行った。司令塔として神戸製鋼を優勝に導いた世界的SOダン・カーター(36)が、MVPとベストキッカーを受賞した。新人賞には7トライをあげた岡田優輝(23)=トヨタ自動車=を選出。フェアプレーチーム賞はヤマハ発動機が選ばれた。ベストフィフティーンに選ばれた日本代表のリーチ・マイケル主将(30)=東芝=はW杯前最後のオフをフィジーで文明を遮断して過ごすプランを語った。
文句なしのMVP。壇上に上がったカーターは前日の勝負師の顔から、温和な表情に変わっていた。「長年やってきて、この状態でMVPをとれたことを誇りに思います」と思いを語った。
突出した能力を持ちながら、根底にあるのは“チーム”として勝つ思い。「チームメートに少しでも貢献したい、それができることを示したかった」とプレー時の心境を明かす。だからこそ「自分自身も助けられてプレーしやすかった。個人的な賞は少し恥ずかしい」と仲間に感謝した。
この日はベストキッカーも受賞した。キック成功率86・2%は、次点のギタウ(サントリー)の76・9%をはるかに上回る。PGに限れば成功率は100%。「(キックは)練習すればするほど、その努力が報われるもの」と秘訣(ひけつ)を明かした。
日本での生活でその文化に触れた。「日本食のおいしさは突出している。フランスも料理で有名だが、本当に日本食は秀逸」と絶賛。拠点の神戸、訪れた京都に魅了されて、「来年のW杯は日本の美しさ、素晴らしさを世界に示すチャンス」と熱く語った。
当初のプランではあと1年で現役を終える考え。その先の可能性を聞かれて「体との相談ですね。36歳なので」と冗談交じりに笑う。「来日は自分の人生の中でもベストな決断だった」。その笑顔は充実感に満ちていた。