紀平「やってしまった」冒頭トリプルアクセル転倒…5位発進も逆転V諦めない!

 「フィギュアスケート・全日本選手権」(21日、東和薬品ラクタブドーム)

 女子ショートプログラム(SP)を行い、グランプリ(GP)ファイナルで初出場優勝を果たした紀平梨花(16)=関大KFSC=はトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)で転倒。68・75点で、5連覇を目指す首位の宮原知子(20)=関大=と8・01点差の5位と出遅れた。フリーは23日に行われる。

 なんとも言えない表情で演技を終えた。紀平は冒頭のトリプルアクセルで転倒。続く3回転-3回転も、二つ目が2回転になるミスが出た。「やってしまった」。首位とは8・01点差の5位発進。悔しさをかみ殺した。

 失敗の原因は「準備」にあった。前日練習でも入念に確認した、靴の緩みとテーピングの調整。直前の6分間練習での感覚からきつくまき直したが、右足だけを締めすぎた。

 演技開始の瞬間「ちょっとキツイかな」と気付くも、時すでに遅し。「不安がない状態で試合に挑むのが前提。できなくて残念」。練習通りでは跳躍の感覚が合わなかった。

 おおらかな性格とは対照的に、16歳らしからぬ繊細で細かな競技へ向かう姿勢が強み。不安の芽は全て摘んだ上で試合へ臨むのが信条だ。試合まで一つ一つ問題を解決してきたが、最後に崩れた。

 朝の公式練習前には、この日の朝7時にホームセンターで急きょ購入した研磨石でブレード(刃)を整え直していた。試合の2日前に研磨したものの、納得がいかず再調整。踏み切る左足はやや丸く、右足は鋭くがトリプルアクセル成功のポイント。丸めに整え直すと、感覚はかみ合った。

 「ピンチ過ぎて緊張はなかった」と振り返ったが、見えない重圧もあっただろう。数日前の深夜0時、別室で寝入ったはずの紀平から母・実香さんの携帯に「寝られない」と電話があった。布団に入って1時間たっても寝付けず。普段は最低7時間は睡眠を確保するが、結局2日続けて6時間ほどしか寝られなかった。意識していないところで、どこか“普段通り”ではなかった。

 とはいえ、GPシリーズのNHK杯では6・58点差の5位から逆転優勝をつかんでもいる。「原因が分かっているので精神的な問題ではない。調整すればいい。自信を持って、最大の実力が出せるようにと思っています」。9年前には、同会場で行われた全日本選手権をスタンドで観戦した。小さな少女から、銀盤のヒロインへと進化を遂げた16歳。初戴冠へ、諦めず、足元を見つめ直す。

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