稀勢の里、高安を圧倒 再起へまた前進!大関相手に16戦13勝

 右膝負傷で先場所を途中休場し、初場所に進退が懸かる横綱稀勢の里(32)=田子ノ浦=が27日、都内の部屋で弟弟子の大関高安(28)と、同じ相手と続けて取る三番稽古をし、16番取って13勝3敗と圧倒した。三段目力士相手に相撲を再開した前日に続き、関取相手の稽古で再起への段階をまた一歩進めた。ぶつかり稽古では泥まみれになってハッスルし、右膝の不安も解消。運命の初日へ向け、滑り出しは合格だ。

 稀勢の里が、まずは心身とも元気いっぱいを印象付けた。前日とは一転し、稽古を公開したのも横綱として堂々と臨む覚悟の表れか。若い衆相手に6番取って“肩慣らし”を終えると、高安と土俵に入った。

 九州場所前の稽古で取って以来、調子のバロメーターとなる大関を迎撃した。いきなり左四つにがっぷり組んで寄り切り。その後も立ち合いで馬力勝ち。低い攻めで何度も押し出した。右膝、左胸筋など患部に不安は見当たらない。再起へ合格のスタートを切った。

 「気持ち良かった。(右膝も)大丈夫」と納得顔。必勝型の左差しにこだわらず、押し勝つ相撲が多かったことには「一番いい形でやろうと思った。いろんな場面があるし、そういう場面が多くなる。まわしが取れないこともあるから」と、イメージ通りだった。

 先場所は横綱として87年ぶりとなる初日から4連敗を喫し、5日目から途中休場。得意の左差しを封じる相手の対策にことごとく敗れた。同じ轍(てつ)を踏むわけにはいかない。

 三番稽古後は高安から「どうっすか」と、ぶつかり稽古の胸出しを志願され「ごっちゃん」と受けた。約5分、何度も転がされ、若い頃のように全身は泥だらけになった。横綱としては珍しく、まげをつかまれて引きずり回された。弟弟子の“アシスト”に応えるのは本場所で復活することだ。

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