尾道、梅本監督の花道飾れず涙 前任校と対戦「余計に勝たなくてはという気持ちが強かった」
「全国高校ラグビー・2回戦、石見智翠館22-7尾道」(30日、花園ラグビー場)
2回戦が行われ、尾道(広島)は石見智翠館(島根)に7-22で敗れ、今季限りで退任する梅本勝監督(55)の花道を飾ることはできなかった。Aシード勢は前回大会準優勝の大阪桐蔭(大阪第1)が土佐塾(高知)に86-7で大勝し、春の選抜大会を制した桐蔭学園(神奈川)と東福岡(福岡)も順当に初戦を突破。79大会ぶり出場の早実(東京第1)は姿を消した。
敗戦を告げるノーサイドの笛が鳴ると、尾道フィフティーンは声を上げて泣いた。「最後は優勝して先生を送り出したかったけどダメでした。申し訳ないし、悔しいです」。FB高武俊輔主将(3年)は唇をかみしめた。
尾道を12年連続で花園へ導いてきた梅本監督の最後の大会。初戦の本郷(東京第2)には快勝したが、隣県対決となった、この日は気合が空回り。前半はゴール前まで迫った2度のチャンスをいずれも反則でつぶし、徐々に相手のペースにのみ込まれていった。
「勝ちたいという気持ちが強すぎて、相手を見てしまった。よそ行きのラグビーをしていた」と梅本監督。尾道の前は江の川(現石見智翠館)の初代監督として10度花園に導いており、「(前任校との対決に)選手も余計に勝たなくてはという気持ちが強かったのでは。そこをうまくコントロールしてやれなかったのは私の責任」と選手をかばった。
「先生には人のために尽くす大切さを教わった。それはラグビーにも生きている」と高武主将。高校日本代表候補でもあるFBは恩師の教えを胸に、来春から慶大に進み「高校時代になれなかった日本一を目指します」。梅本監督は岡山・倉敷高に新設されるラグビー部の監督に就任。選手も指揮官も、また新たな挑戦が始まる。