大阪桐蔭、河村レイジが魂の連続トライ 悲願Vで歴史塗り変える!
「全国高校ラグビー・準決勝、大坂桐蔭31-17流通経大柏」(5日、花園ラグビー場)
準決勝2試合が行われ、悲願の初優勝を目指す前回準Vの大阪桐蔭(大阪第1)はフランカー河村レイジ(3年)の2トライなどで、流通経大柏(千葉)を31-17で下し、2大会連続2度目の決勝進出を果たした。東福岡と両校優勝だった第90回大会以来8大会ぶり2度目の優勝を狙う、春の選抜王者・桐蔭学園(神奈川)は46-38で東福岡とのAシード対決を制し、3大会ぶり6度目の決勝へ駒を進めた。決勝は“桐蔭対決”となり、7日午後2時から行われる。
「レイジ」の連続トライで大阪桐蔭が悲願の日本一に王手をかけた。17-12で前半を折り返した後半4、11分に、フランカー河村が続けざまに飛び込み勝負を決めた。花園初どころか「公式戦では春の総体以来」というトライ。伏兵の活躍に綾部正史監督(43)も「ちょっとビックリした」と目を丸くした。
ひときわ目を引く片仮名の名前「レイジ」は、90年代を席巻した米国のロックバンド「Rage Against The Machine(レイジ・アゲインスト・ザ・マシーン)」のファンだった両親が命名した。「覚えてもらいやすい」と誇らしげに笑う。
聖地の芝を初めて踏んだ。1年生の12月、花園直前の練習試合で右膝前十字靱帯(じんたい)を断裂。復帰したのは2年生の10月だった。懸命なリハビリと並行して筋力トレーニングを重ね、体重は8キロ増えた。だが、準優勝に終わった前回大会も出場はかなわず、スタンドから声をからした。
テーピングで固められた右膝は今も痛みが残る。それでも「去年は悔しい思いをした。自分がグラウンドに立って桐蔭の歴史を変えたい」と果敢に密集へ飛び込んだ。試合後は脚を引きずりながら歓喜に浸った。
今大会初めて先制を許しながらも「全く気にならない」(綾部監督)と動じなかった。先発FWの平均体重94キロに対し相手は93・6キロと差はなかった。綾部監督は「大きなチームだからこそ弱点もある。この形しか勝てない」と前半はボールを回して相手のスタミナを削り、後半は得意のFW勝負で圧倒した。
決勝は前回大会準決勝と同一カードの“桐蔭対決”となった。昨年度は接戦を制したが、春の全国選抜大会決勝では敗れている。河村は「まだ優勝していないので初優勝したかった」と大阪桐蔭への進学を決めた。雪辱を果たした先に、初めての頂点が待っている。