体操のリオデジャネイロ五輪団体金メダルメンバーの田中佑典（２９）、山室光史（２９）、加藤凌平（２５）を擁するコナミが７日、埼玉県草加市内の体育館で全体始動練習を公開した。

　奇跡の復活劇に挑むのは、内村航平と同学年の山室だ。昨年９月、“和製ヘラクレス”と呼ばれた男を悲劇が襲った。全日本シニア選手権のつり輪のウォーミングアップ中に右上腕二頭筋を断裂。「バリバリバリって音が聞こえて、筋肉がちぎれて落ちていくのが分かった。まさか僕の筋肉がちぎれるとは。筋肉を売りにしていたので」。手術をして繋げれば、体操に必要な他の動きに支障が出る可能性がある。選んだのは筋肉が切れたまま戦うことだった。切れたのは、二頭筋の前面の部分。後部の筋肉を強化することで補おうとしている。右腕上部はへこんだまま。「今までと体の使い方が違うので、少し頭を使う必要がある」と試行錯誤の段階だが、「感覚的にはいけるんじゃないかという感じはある」と、前を向いた。

　日本男子は今年大学を卒業する白井健三（日体大）、萱和磨（順大）ら“白井世代”を中心に若手が台頭。内村航平を除くベテラン勢は厳しい状況に追い込まれている。学生時代から切磋琢磨してきた内村にも怪我が増えてきた。今もたまに連絡を取り合い、こう声を掛け合う。

　「頑張り時だな」－。

　本当はリオ五輪も考えてなかったという。ロンドン五輪で本番に左足を骨折し棄権。その悔しさを糧に走り続けてきた中で、東京という目標ができた。「東京が“最終地点”。あと２年しっかり走りきりたい」。まだ諦めていない。