大功労者の吉田沙保里引退に日本協会・福田会長「深い感謝。ご苦労様と伝えたい」
レスリング女子で五輪3連覇を達成した吉田沙保里(36)=至学館大学職=が8日、自身のSNSで現役引退を発表した。
日本レスリング協会は福田富昭会長のコメントを発表した。福田会長は「吉田選手は日本の女子オリンピック金メダリストの第1号選手で、日本で女子を始めた私の20年目の悲願を達成してくれた選手です。長い間、女子レスリングを支えてくれたことに、深く感謝するとともに、ご苦労様と伝えたい」と、日本のレスリングにとって大功労者をねぎらった。さらに「オリンピック3連覇、16度の世界一、アジア大会4連覇、国内外119連勝、個人戦206連勝…。吉田選手の快挙を挙げればきりがありません。日本の女子レスリングがメジャーと呼べる存在となったのは、吉田選手の尽力が大きかったことは、だれもが認めるところです」と、数々の偉業を称えた。
また、2013年のレスリングの五輪競技除外危機を振り返り、「マット上のことだけではありません。2013年2月、レスリングは国際オリンピック委員会(IOC)から2020年大会の除外候補に指名され、これを復活させるため世界レスリング界が一致団結して復活を勝ち取りましたが、ここでも大きな力を発揮してくれたのが、吉田選手でした。集まった復活嘆願署名は約94万人。オリンピック3連覇を達成し、国民栄誉賞を受賞した吉田選手のネームバリューが全国民の関心を引き起こしてくれたのだと思います」と、その存在の大きさに感謝。
「同年5月、サンクトペテルブルグで行われたIOC理事会には、3個のオリンピック金メダルを持って私に同行、多くの理事に対してロビー活動を展開してくれました。この時、実は2週間後に世界選手権の予選が控えており、外国に行っている状況ではなかったのです。レスリング界の“歴史的危機”の前に、嫌な顔ひとつせずに行ってくれたのです。その姿勢には、感謝してもしきれないことでした」と、吉田の持つ深い“レスリング愛”を示すエピソードを披露した。
今後に向けて「今後は、後進を育て、いい指導者として日本の女子レスリングの伝統を繋げてくれることを臨みます」と、指導者として“第2の吉田沙保里”を育てていくことに期待を込めた。