「大相撲初場所」（１３日初日、両国国技館）

　右膝負傷で先場所を途中休場し初場所に進退の懸かる横綱稀勢の里（３２）＝田子ノ浦＝が９日、二所ノ関一門の連合稽古で新関脇貴景勝（千賀ノ浦）を８勝１敗と圧倒した。先場所初日に苦杯をなめ、その後、横綱としては８７年ぶりとなる初日から４連敗。因縁の相手に借りを返し、再起への準備を整えた。

　押し相撲一本で先場所、初優勝を遂げた２２歳若武者の勢いを存分に体感した。立ち合い、低く突っ込む相手を真っ向受け止め応戦。一番目から圧力で押し勝って、４連勝。

　五番目、突き落とされてバッタリ倒れて黒星を喫し「あーくそー」と絶叫。だが、その後もスタミナ、馬力で圧倒し４連勝締め。貴景勝得意の強烈ないなしも粘り腰で残して逆襲するなど、課題の下半身も強かった。

　「前に前にという意識は持っていたのでよかった。（相手は）一番強い力が出ますし、圧力負けしないように。非常にいい稽古になった」と、満足げに振り返った。

　７日、横綱審議委員会の稽古総見では横綱鶴竜、大関豪栄道との申し合いで３勝３敗。息切れし、立ち遅れるなど調整不足を露呈。左足を打ち付け、途中で稽古を切り上げるなど精彩を欠いた。

　右膝、左足の不安もまずは払しょく。稽古内容でも何とか面目を保った。見守った周囲の評価も悪くない。

　元横綱で解説者の北の富士勝昭氏（７６）は「ずいぶん良くなった。下半身しっかりしてきた。少しは期待が持てる。９月（１０勝を挙げた昨年秋場所前）とは違う。９月よりいい。本場所はそう簡単にはいかない。もうひと花？本人もそう思っていると思う。上げてくると思う」と期待。

　芝田山親方（元横綱大乃国）は「総見の時よりは上がった」と前進を認めた。「番数をもう少しやってほしい。白鵬に例えるなら相手をやり込めるような稽古をしてほしい。相手がグーの音も出ない稽古をしてほしい」と稽古内容にはまだ疑問を付けた。

　師匠の田子ノ浦親方（元幕内隆の鶴）は「動きは悪くなかった。（初日に）何とか間に合えばと思う」と話した。