引退の稀勢の里、2010年に白鵬の連勝「63」で止める金星

 横綱稀勢の里が16日、引退を決断した。師匠の田子ノ浦親方(元幕内隆の鶴)が報道陣に明かした。中学卒業にあわせて02年春場所で初土俵を踏み、17歳9カ月で新十両、18歳3カ月で新入幕と若くして期待され続けてきた。その土俵人生の中で輝いた瞬間の一つに2010年の九州場所で横綱白鵬の連勝を「63」で止めた1番がある。

 2010年11月15日、九州場所の2日目に東前頭筆頭の稀勢の里は白鵬と対戦した。この取組前の時点で対戦成績は稀勢の里の4勝20敗だった。

 立ち合い、白鵬がもろ差しになった後、間合いが開いた。稀勢の里は一気に押して前に出ると、得意の左四つに。投げ、足技と懸命に反撃する横綱を寄り切った。連勝記録を止める金星を挙げ大歓声を浴びた。

 2019年の今なお、第一人者として走り続ける白鵬に「これが負けか」と言わしめた一番。支度部屋では「実感がわかない」と何度も繰り返し、「右上手を取っても土俵際の逆転があるから最後まで勝てるとは思えなかった。勝ち名乗りを受けて、やっと『勝ったんだ』と思えた」と謙虚に振り返った。

 この時は24歳で将来が期待されるホープだった。「『日本人として記録を止めて』と場所前から言われていた。その気持ちがなかったと言えばウソ」とも話していた。ちょうど1年後の九州場所後に大関に昇進。そして、17年初場所後に横綱昇進を果たすことになるが、この頃も、この前からも、相撲ファンの期待を背負い続けていた。

 ◆稀勢の里寛(きせのさと・ゆたか)1986年7月3日、茨城県牛久市出身。本名・萩原寛(はぎわら・ゆたか)。中学までは野球少年だったが、卒業時に鳴戸部屋に入門。02年春場所で初土俵を踏む。04年九州場所新入幕。188センチ、177キロ。幕内優勝2回、殊勲賞5回、敢闘賞3回、技能賞1回、金星3回。

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