「卓球・全日本選手権」（１９日、丸善インテックアリーナ）

　女子シングルス準々決勝で、１４歳の木原美悠（エリートアカデミー）が世界ランク１２位の佐藤瞳（２１）＝ミキハウス＝との７７分間の激闘を４－３で制し、初の準決勝進出を決めた。中学２年での４強は石川佳純以来２人目。前回王者の伊藤美誠（１８）＝スターツ、早田ひな（１８）＝日本生命＝も勝ち進み、準決勝で当たる。女子ダブルスは伊藤、早田組が２連覇。男子ダブルスは張本智和（エリートアカデミー）、木造勇人（愛知工大）組が初優勝。張本組は準決勝で前回王者の水谷隼、大島祐哉組（木下グループ）を破った。

　「めっちゃもう震えてます！手が」。中学２年生の快進撃に、木原自身が目を丸くして驚いた。「一番大きな大会で４強に入ったことは自分でも信じられないし、現実じゃないみたい」。７７分間の耐久戦を終えたばかりの１４歳は興奮冷めやらぬ様子で声を弾ませた。

　世界屈指のカットマンである佐藤はどんな球も返してラリー戦に持ち込んでくる。並の１４歳なら根負けしてミスする場面でも木原は違う。スマッシュ一辺倒ではなく、つっつきなどで相手の体を動かし、隙を突いて強打を効果的に狙った。

　１－３と崖っぷちに立たされたところで“追い風”も吹いた。長時間試合を避ける「促進ルール」が適用されたことで、守備型の相手も攻撃に出ざるを得ない。木原は「（ルールを）よくわかってなかった」というが、劉コーチから「レシーブを打つな」と言われ状況を理解。相手のミスを待つ作戦に切り替えると、逆にサーブからの３球目攻撃も決まり、大逆転につなげた。

　兵庫県明石市出身で幼少期から「スーパー小学生」と注目を浴びた。中学進学と同時に親元を離れて上京しエリートアカデミーに入校。名門で結果を出さなければいけない重圧にも襲われ、負けて泣くことも初めて経験した。年末年始は１週間帰省し、ラケットはほぼ握らずリフレッシュ。１７年全日本女王の平野を撃破するなど地元関西で見せた快進撃に、母なおみさんは「怪物みたいや。わが子ながら肝っ玉がすごい」と驚いた。

　１４歳１７０日で優勝すれば、張本智和の１４歳２０８日を抜いて男女を通じて史上最年少となる。木原は「昨年張本選手が優勝して刺激を受けたので、自分も中学２年で優勝したい」と、はにかみながらも頂点を見据えた。