39歳の豪風が引退を表明「こんなに気持ちのいい朝を迎えたのは初めて」
「大相撲初場所・10日目」(22日、両国国技館)
元関脇で東十両12枚目の豪風(39)=尾車部屋、本名・成田旭=が22日、現役引退を表明した。この日朝、都内の部屋で取材に応じた師匠の尾車親方(元大関琴風)が前夜遅く、本人から引退を決意した連絡を受けたことを明かした。
「もうこれで悔いはありません」との引退申し入れに親方は「それがいいんじゃないか。しがみついても仕方がないから」と承諾。「(プロ入り)100場所で98場所も関取をやった。そんな力士は他にいないんじゃないか」とねぎらった。
年寄株「押尾川」を取得しており、引退後は親方として後進の育成にあたる。23日に引退と「押尾川」襲名会見を行う予定。
引退手続きと部屋へのあいさつのため、朝に部屋を訪れた豪風は報道陣に対応。「悔いは一つもありません。本当にこんなに気持ちのいい朝を迎えたのは初めて。別世界にいる感覚」とすがすがしい表情で語った。現役は終わったが、相撲界にまだまだ貢献。「自分の相撲道はまだこれから」と力を込めた。
今場所は初日から調子が上がらず、9日目に8敗目(1勝)を喫し負け越し。幕下陥落へ後がないところまで追い込まれていた。
関取100場所へあと2場所の目標もあったが「勝負の世界。甘くはない。勝負師としていさぎよく」と、決断した。
部屋の力士らにも引退を報告。同じ中大出身で今場所新入幕の矢後には「長くやれ。1、2年やっても忘れられる。長いことやってもらう。相撲に時間を注いでもらう」と、エールを送った。
秋田出身の豪風は中大で学生横綱に輝いた。02年夏場所、幕下15枚目格付け出しで初土俵を踏み、03年春場所で新入幕。突き押し相撲でV争いを演じ土俵を沸かせた。軽妙トークで人気力士だった。
元横綱稀勢の里(現荒磯親方)に続き、今場所また愛される力士が土俵に別れを告げた。