高安が貴景勝を返り討ち!先場所の屈辱晴らす 兄弟子元稀勢の魂継承「気合入れて」
「大相撲初場所・10日目」(22日、両国国技館)
大関高安が先場所初優勝した新関脇貴景勝をはたき込みで退け、意地を見せた。5勝5敗の五分で優勝戦線からは脱落ながら大関昇進の可能性がある22歳の壁になった。貴景勝は今場所後の大関昇進へ痛い3敗目を喫した。横綱白鵬は隠岐の海を寄り切って全勝をキープし単独トップ独走。1敗で追っていた平幕千代の国が勢に押し倒され2敗に後退。1敗が消え、2差で千代の国と関脇玉鷲が追う。
勝利にも高安は不機嫌だった。「立ち合いは当たれた。何とか押し込まれないようにした」と支度部屋では言葉少な。V戦線から早々と脱落。勢いに乗る22歳の挑戦をはね返しても喜びはなかった。
貴景勝を真っ向から受け止め、はじいた。特攻する相手に追い込まれたが冷静。右に開いてはたき込んだ。
先場所は直接対決で勝利し、トップの2敗で並び千秋楽を迎えた。本割で自身が敗れ、初優勝をさらわれた。またも悲願の賜杯を逃した屈辱を晴らすため、冬巡業から徹底して肉体を追い込んだ。
場所前は絶好の仕上がりだったがインフルエンザを発症。前日も腰砕けのような取り口で自滅。10日目で5敗は戦う体を作れなかった自身の責任だった。
結果次第では大関昇進の可能性がある貴景勝の壁になった。“甘くはない”という大関の意地の返り討ちだ。
今場所で引退した兄弟子の元横綱稀勢の里(現荒磯親方)の魂を継ぐ。引退表明の日、「お疲れさまでした。またお願いします」と連絡すると、「任せてください」と返された。兄弟子は現役時代同様、自身に猛稽古を予告している。横綱に昇進することが何よりの恩返しになる。
帰りの車に乗り込む前、「気合しかない。気合を入れていかないと勝てない。気持ちです」と前だけを向いた高安。大関の存在感を見せる重要な残り5日となる。