貴景勝、残った!連続Vで大関へ 白鵬撃破でトップ2敗玉鷲を追走
「大相撲初場所・13日目」(25日、両国国技館)
先場所初優勝した関脇貴景勝が横綱白鵬を突き落とし、10勝目を挙げてトップと1差の3敗を守った。新関脇で価値ある2桁勝利。大関とりには慎重論があるものの、残り2日で白星を重ねれば機運も高まる。逆転で2場所連続優勝となれば昇進は確実だ。白鵬は悪夢3連敗で3敗に後退。関脇玉鷲が北勝富士をはたき込み、2敗をキープし単独トップに立った。14日目に玉鷲が勝ち、3敗の白鵬と貴景勝が敗れれば玉鷲の初優勝が決まる。
乱れ飛ぶ座布団が体を直撃しても、貴景勝はまだ気迫に満ちた表情を崩さなかった。4度目挑戦の白鵬を真っ向勝負でぶっ倒した。
頭で当たって、押し込んで、絶対にまわしを許さない。3度、頭で当たり、4度目に突撃した瞬間、左からの強烈な突き落とし。最強横綱がバッタリ落ちた。白鵬から初勝利を挙げ、トップ1差の3敗を死守した。
「持てる力を出し切った。反応した。(横綱に対し)何かが勝(まさ)ってるから勝ったとかはない。レベルが違う。唯一、気持ちだけ強く持っていこうと」。支度部屋でも興奮は続いた。
初優勝した先場所は3横綱全員が休場。真価が問われた新関脇場所で白鵬を破って10勝は価値が高い。これで3場所計32勝となり、大関昇進への目安となる三役3場所で計33勝にも王手をかけた。
昇進を預かる審判部は慎重だ。阿武松審判部長(元関脇益荒雄)は「よく勝負にいった」と評価したが「(昇進は)終わってみないと」と言葉を濁した。錦戸副部長(元関脇水戸泉)は「一つ一つの積み重ね。でも引きが目立つからね」と相撲内容に注文を付けた。
大関とりの起点場所の10勝未満がネックとなるが、関脇以下では史上初となる2場所連続優勝、そして36年5月場所の双葉山以来83年ぶり新関脇優勝となれば、昇進への支障はなくなる。
本人の心は揺るぎはない。「自分の持ってるものを崩さずいく。勝とうと思って勝てる世界じゃない。できることをやる」。目の前の一番に集中する強い覚悟を示した。