初優勝の玉鷲 世代交代進む中での34歳の存在感「自分も若くならなくちゃ」
大相撲初場所で13勝を挙げて初優勝した関脇玉鷲(34)=片男波=が28日、都内の部屋で優勝一夜明け会見を行った。「(睡眠は)2時間半」と眠い目をこすりながら「まだ優勝したことが信じられない」と夢心地だ。
初の天皇賜杯には「重いです。夢はかなえるもの」と笑み。優勝争いは「最後の3日間。だんだん硬くなってきた」と、横綱白鵬(宮城野)と並びトップに立った時から意識したといい、「トップは気持ちいい」と、気合が入った。
14日目の碧山(春日野)戦は「頭が真っ白。初めて」と相撲の取り方を忘れるほど緊張したが、千秋楽、勝てば優勝の遠藤戦は「気が楽だった」と、平常心で臨めた。優勝の瞬間は「胸に上がるものがあった。気持ち良かった」と振り返った。
初土俵から15年。相撲どころか、スポーツ経験もない中で来日し、異国で優勝。招待していた両親の前で果たした快挙に「最高です」とかみしめた。
しかも、千秋楽の日、朝4時40分に第二子となる次男が誕生するという信じられない喜び。夫人の入院する病院からいったん、自宅に戻った時に生まれ、また病院にトンボ帰り。1分ほど会って、朝稽古のためまた戻った。「奥さんが頑張った。次は俺の番」と、負けられなかった。一夜明け会見後、病院でたっぷり我が子と再会するつもりだ。
優勝が大関昇進への足がかり。春場所(3月10日初日、エディオンアリーナ大阪)で好結果を残せば、夏場所(5月12日初日、両国国技館)が大関取りになる。
「先のことを考えるより一番一番」と気を引き締める。これからまだまだ優勝を重ねる。「1回緊張を味わったので、(2、3回と)頑張らなくちゃ」と、意欲を見せた。
初土俵から1度も休場はなく1151回連続出場は現役1位の鉄人。会見に並んだ師匠の片男波親方(元関脇玉春日)は「息の長い力士になってほしい。あと何年も取る力士でいてほしい」と期待した。まな弟子の魅力は人柄。「きのうの優勝インタビューでもうれしいならうれしいと。素直なのがいいところ」と目を細めた。
元横綱稀勢の里(現荒磯親方)が引退し、関脇貴景勝(千賀ノ浦)らが活躍し、世代交代が迫る中、34歳が存在感を見せた。「自分も若くならなくちゃ」とまだまだ全盛期。旭天鵬(現友綱親方)を超える40歳超で現役にも「これからまだまだやりたい」と視野に入れた。