日本大アメリカンフットボール部の悪質反則問題で、警視庁は５日、傷害容疑で告訴された内田正人前監督（６３）と井上奨前コーチ（３０）の嫌疑は認められないとの捜査結果を東京地検立川支部に書類送付した。起訴を求めない内容で、傷害の意図を持った指示はなかったと判断した。

　また同日、反則行為のタックルをした宮川泰介選手（２０）を傷害容疑で書類送検し、地検に判断を委ねる「相当処分」の意見を付けた。負傷した関西学院大の選手側との間では示談が成立。３人とも不起訴となる見通し。

　捜査関係者によると、内田前監督は連絡用無線機を不調のため使っておらず、井上前コーチは離れた場所にいて話せない状況だった。警視庁は、日大の第三者委員会が反則指示を認定する根拠の一つとした「やりましたね」（前コーチ）「おお」（前監督）との会話はなかったとみている。

　宮川選手が明らかにした井上前コーチの「相手ＱＢを１プレー目でつぶせ」との発言は、多くの部員が「『つぶせ』は、思い切り行けの意味だと思った」と説明。「つぶせ」との言葉は「強いタックル」などの意味で普段使われており、警視庁はアメフットにおける正当業務行為の範囲内と判断、宮川選手が指示を誤解したとみている。また、前監督の視線がタックルの場所と離れたボールの方向に向いており、反則を見ていなかったと認定した。