野獣・松本薫、引退会見「優先順位が柔道より子供に。勝負師として終わった」
柔道女子57キロ級のロンドン五輪金メダリストで、“野獣”の異名を誇った松本薫(31)=ベネシード=が7日、都内で引退会見を行った。引退を決意した理由については「優先順位の1番が柔道より子供になってしまった。体力もなく、結果を残せず、五輪は難しいなと思った」と、サッパリとした表情で話した。
松本は銅メダルだったリオ五輪後に結婚し、17年6月に第1子となる長女を出産。「ママでも金メダル!」と公言し、産後1カ月で練習を再開し、20年東京五輪を目指して競技に復帰した。しかし昨年11月の講道館杯全日本体重別選手権で1回戦負けとなり、東京五輪代表入りが絶望的となっていた。「闘争心がなくなっていて、試合中に“あ~、もう勝ちたくないな”と思ってしまった。勝負師として終わったと気付いた」と、試合直後に会社に引退する意向を報告したという。「“野獣”を作るのにはもの凄く力がいる。子育てしながら、野獣スタイルを作るのは難しい」。ただ、心境については「悔いはない。今はスッキリしています」と、笑った。
松本薫(まつもと・かおり)1987年9月11日、石川県金沢市出身。初出場の12年ロンドン五輪で金メダルを獲得し、野性味あふれるスタイルから「野獣」の愛称で親しまれた。16年リオデジャネイロ五輪では銅メダル。世界選手権は10、15年に優勝。リオ五輪後に一般男性と結婚し、17年6月に第一子となる女児を出産した。帝京大出身で現在はベネシード所属。得意は大外刈り、小外刈り、寝技。163センチ。