一二三、海外で初の初戦敗退 格下選手に足すくわれた
「柔道・GSパリ大会」(9日、パリ)
男女計7階級が行われ、男子は66キロ級で世界選手権を2連覇している世界ランキング1位の阿部一二三(21)=日体大=が、初戦の2回戦で同20位で、18年世界ジュニア王者のマヌエル・ロンバルド(イタリア)に合わせ技一本で敗れた。阿部が初戦で敗れるのは海外大会では初。国内を合わせても、シニア転向後では自身初の屈辱となった。
両膝に手をつき、がっくりと肩を落とした。男子66キロ級の世界王者、阿部一が重要な今季初戦で、格下のイタリア選手に足をすくわれた。3連覇が懸かる世界選手権代表入り、その先に控える東京五輪代表争いにも影響する痛恨の初戦敗退。「自分の柔道ができなかった。ここでしっかり勝ち切って、いい流れをつくりたいと思っていたが…」と険しい表情を浮かべた。
体調は良く、減量も順調だったという。だが組み合うと「思っていた以上に相手が研究してきている」。追われる王者の宿命だ。重心を下げて腰を引く相手に「自分の技が全然かからない」と攻めあぐねる。開始から約2分、低い姿勢の相手に裏返されて技あり。さらに「焦りで前に出たところを合わされた」と不用意に投げを食らって万事休した。
早々に世界選手権代表を決めた妹の詩(兵庫・夙川学院高)と対照的だ。直前に右手首を痛めた昨年11月のGS大阪大会では丸山(ミキハウス)に屈し、潮目が変わった。「もう負けは許されない。もっと強くならないといけない」。絞り出した言葉に危機感がにじんだ。