「フィギュアスケート・四大陸選手権」（８日、アナハイム）

　女子はショートプログラム（ＳＰ）５位の紀平梨花（１６）＝関大ＫＦＳＣ＝がフリーで１位となり、合計２２１・９９点で初優勝した。ＳＰ２位から２連覇を狙った坂本花織（１８）＝シスメックス＝は合計２０６・７９点で４位だった。

　頂上まであと一歩と迫りながら、自ら足を滑らせた。“らしさ”を失った坂本は空回りでまさかの４位に後退。「ミスした自分バカだなって思って、めっちゃ悔しかった」。後悔とともに涙があふれて止まらなかった。

　試合前からどこか歯車はかみ合っていなかった。午前中の公式練習でミスを連発。振り返れば、前夜から緊張で寝付けず、寝て起きてを繰り返していた。

　試合直前も変に気負った。「いつもは自分に集中するけど、全然集中できていなかった」と坂本。気付けば「何点以上出せば勝てる」などと考えてる自分がいた。同時に「ノーミスでできるのかな？」という不安もよぎった。練習の「悪いイメージ」も拭いきれなかった。勝利への欲に足をすくわれた。演技序盤から頭は真っ白。得意の３連続ジャンプでミスが生じ、撃沈した。

　試合後、中野園子コーチからは「世界選手権に向けてしっかりやれよって神様が言っているんや」と諭された。「あの子には運がついている。（神様が）色々なことを教えようとしているんだと思う」と同コーチは言う。

　昨季は平昌五輪代表をつかみ、一気に世界の上位へ仲間入り。順風満帆だった。しかし山あり谷ありだからこそ、頂点からの景色はより美しさを増すはずだ。３月の世界選手権（さいたま）へ「笑顔で終われるようにしたい」と坂本。忘れかけていた悔しさを胸に、懸命に涙をぬぐった。