宇野昌磨 貫いた「僕の生き方」度重なる負傷乗り越え、ついに主要国際大会初戴冠

 「フィギュアスケート・四大陸選手権」(9日、アナハイム)

 男子フリーが行われ、SP4位からの巻き返しを狙った平昌五輪銀メダリストの宇野昌磨(21)=トヨタ自動車=はフリーに限れば羽生結弦が持っていた記録を超える197・36点、SPとの合計も自己ベストを更新し、世界歴代2位となる289・12点をマークし逆転で初優勝を果たした。フリーの従来の記録は190・43点だった。2位は金博洋(中国)、3位はSPトップのビンセント・ゾウ(米国)。田中刑事は7位、友野一希は12位だった。

 演技を終えた宇野は、力を使い果たしたかのように膝から崩れ落ちた。

 「終わった直後はうれしい気持ちより、終わった、やり切ったという気持ちだけでした」。

 自らの生きざまを貫き、ついにたどり着いた頂点だった。主要国際大会(五輪、世界選手権、GPファイナル、四大陸選手権)で銀メダル6回とあと1歩届いていなかった。実績から圧倒的な優勝候補として乗り込んできた今大会だったが、昨年12月のSP直前の右足首のねんざを乗り越えて3連覇を達成した全日本選手権から、今大会までの約1カ月でさらに2度ねんざ。足への不安に加え、練習・トレーニングが不足し、体力面でも問題を抱える中での演技だった。SPはミスが出て、まさかの4位発進。それでもフリーでは集中力を極限まで高めて、ほぼ完ぺきな演技。フリーの世界最高点をマークする圧巻のパフォーマンスだった。

 負傷が重なる中、今季の最も大きな舞台となる3月の世界選手権(埼玉)に照準を合わせ、四大陸を回避するという選択肢もあった。宇野自身、1月に「じっくりと休養し世界選手権に臨むことも考えました」と、コメントを出している。ただ、それでも、若武者は前哨戦の銀盤に立つことを選んだ。

 最初に右足首をねんざした全日本の時、周囲は棄権を提案した。宇野は決して首を縦には振らなかった。「どうしてそこまで出たいの?」。そう聞いた樋口美穂子コーチに、宇野は言った。「僕の生き方です」-。

 真意を問われると「僕はどんな試合でも休みたくない。簡単にいえば、プライドですかね。陸上で歩けるなら、無理してでも出たい」と、明かした。アスリートとしての信念を貫き通し、自らの“壁”を超えた。

 「結果にこだわらず試合に挑むと言い続けてきたけど、優勝できたのはすごくうれしい。どういう形であれ、シニアに上がって大きな大会での優勝は初めてなのでうれしいけど、世界選手権へもっと練習をたくさんして、なおかつ優勝できるように頑張りたいと思います」。手にした自信は、21歳をさらなる進化に導くか。五輪王者の羽生結弦、世界王者のネーサン・チェンとの頂上決戦から、目が離せなくなってきた。

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