白血病を公表した池江璃花子にとって、東京五輪への道は険しいものとなった。日本水連の上野副会長は、例外措置での代表選出を否定。２０年４月の日本選手権で結果を残すことが必須となる。８種目以上の出場が期待されている自国開催の五輪で泳ぐためには病を治し、約１年でトップコンディションを取り戻すことが求められる。

　競泳日本代表の仲間にも、大きな衝撃が襲った。この日、グアム合宿から帰国したリオ五輪金メダリストの萩野公介（２４）＝ブリヂストン＝は「すごくビックリしました」、１７年世界選手権銀メダルの大橋悠依（２３）＝イトマン東進＝も「すごくショックでした」と神妙な表情。代表統轄の平井伯昌ヘッドコーチも「絶句でした。信じられなかった」と唇をかみしめた。

　代表チームとしても、昨年のアジア大会６冠を獲得し、ＭＶＰに輝いたこの１８歳の存在感は群を抜いていた。萩野は「本当に頑張り屋。尊敬できる存在だった」とうなずき、大橋も「五つ年下なんですけど、強い気持ちを持っていて、見習うところがたくさんあった」と言葉を詰まらせた。リレー種目でも大黒柱だっただけに、平井ＨＣは「チームにとっても大打撃」。それでも「彼女も強い気持ちで病気に向かい合っている。我々もしっかり頑張る」と五輪出場枠獲得を誓った。

　池江が前を向いて東京五輪を諦めていない以上、選手たちがやれることは１つだけ。萩野は「彼女は諦めていない。僕たちもいいニュースを届けたい」と話せば、大橋も「璃花子は病気と闘う決意をしてる。自分たちもしっかり頑張って、勇気を与えたい」と覚悟を口にした。