崖っぷちバスケ男子を変えた八村、渡辺、ファジーカス W杯は日本版ドリームチームだ
アジア2次予選を2位で通過し、自力では21年ぶりにW杯出場を決めたバスケットボール男子代表は25日、帰国する。予選4連敗の崖っぷちから、怒とうの8連勝で大逆転切符。3月に開催国枠が決まる20年東京五輪出場に向けても大きく前進した。
ターニングポイントとなったのは、昨年6月の1次予選最終シリーズの豪州戦だった。当時は開幕4連敗中で、豪州は世界ランク10位の強豪(日本は当時48位)。崖っぷちだった。しかし、ここで米・ゴンザガ大で活躍していた八村塁と、同4月に日本に帰化したNBA経験者でBリーグMVP男のニック・ファジーカスの招集に成功。豪州に79-78の1点差の死闘をものにすると、一気に息を吹き返した。
昨年9月の2次予選開幕シリーズでは、負傷のファジーカスに代わり、グリズリーズとNBAにも出場可能な「ツーウエー契約」を結んだばかりだった渡辺雄太の招集に成功。八村、渡辺のコンビが存在感を見せ、ホームで難敵イランの撃破に成功した。
米国のシーズンが始まった昨年11月、そしてこの2月のシリーズは、八村、渡辺を招集することはできなかったが、快進撃を続ける中でチームに芽生えたのは一体感と自信。今回の中東2連戦を前に、不振の時期をけん引してきたエース比江島は話していた。「色んな経験を積んで強くなった今のメンバーでも十分勝てる。僕らのバスケをすれば、アジアでも、世界でも通用するところを見せられると思う」。敵地でイランに完勝することで、生まれ変わった日本の強さを証明した。
8月に開幕するW杯(中国)では、八村、渡辺の招集も期待十分。米国を筆頭に強豪が揃うが、ファジーカスを含めた3人が初めてそろい踏みする“日本版ドリームチーム”での、ジャイアントキリングへの期待が高まる。比江島は「負けて苦しい時期もあったけど、信じてここまでこれた。これで終わりではなくW杯が待ってる。結果を出して、喜びを分かち合いたい」と、大舞台を見据えた。夜明けを迎えた日本男子バスケ。夢にまでみた世界の舞台に、ステージを移す。