原沢久喜3年ぶり国際大会Vで復活手応え「自信ついた」大野将平との“長州同盟”も力に
柔道のグランドスラム(GS)デュッセルドルフ大会男子100キロ超級を制したリオデジャネイロ五輪銀メダルの原沢久喜(26)が26日、成田空港に帰国した。リオ五輪以降では初となる、自身3年ぶりの国際大会優勝を果たし、「(前回Vから)3年もたっていたことにまずビックリした。それだけ苦しい時期もあったが、諦めずにここまでやってきて、優勝できて良かった」と感慨深げだった。
悩める重量級のエースに光が差し込んだ。近年はオーバートレーニング症候群による体調不良やルール改正等による国際戦線の変化に苦しみ、16年2月のGSパリ大会を最後に国際大会での優勝から遠ざかっていたが、2週間前のGSパリ大会2位に続いての優勝劇で復活を強く印象づけた。
しっかり組んでから、内股などのキレ味鋭い投げ技を放つ本来の正統派柔道で5試合オール一本勝ち(反則含む)を飾り、「状態もそうだし、試合に向けての自信もすごくついてきた」と納得の表情。現在はフリーとあって、ドイツには私費を投じてトレーナーや付け人に帯同してもらっただけに「今回勝ったので(賞金で渡航費が)チャラになったかな」とちゃめっ気も見せた。
年明けからは数回、自身の意向で奈良県天理市にある天理大の道場にも出稽古に行った。しっかり組んで攻撃する同大の柔道スタイルに触れ、「前に出る柔道、技をどんどん出していく柔道というのを学んで、それが少し実ってきたのかなと思う」。その際には、天理大を拠点にする同郷山口出身のリオデジャネイロ五輪73キロ級王者・大野将平(27)の手助けもあったという。
原沢を受け入れる環境を整えた大野は「地元の一つ下の後輩だし、(原沢を)自分も気にしている」と明かした。階級が違うため乱取りこそしないものの、一緒にトレーニングで汗を流すなど刺激し合った。
「(原沢とは)正しく組んで正しく投げる柔道という共通の意識がある。(最近)なかなか結果がついてこなかったが、その中で一つ環境を変えて、今回優勝のきっかけになってくれたのなら非常にうれしい」
原沢とは今後も定期的に天理大で共闘する可能性もあり、「天理の環境を気に入ってくれたら非常にうれしいし、月に1回会って一緒にトレーニングしたり、飯を食ったり。同郷の長州の後輩でもあるので、うれしいですよ」と“兄貴分”として喜んでいた。