大迫、棄権 震えながらえずき…4度目マラソンで初の“挫折” MGCに不安

 29キロ付近で歩き始める大迫傑(右奥)。途中棄権した(代表撮影)
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 「東京マラソン」(3日、東京都庁~東京駅前)

 日本記録保持者の大迫傑(27)=ナイキ=は、29キロ地点で棄権した。日本記録をマークした昨年10月のシカゴマラソン以来のレースだったが、気温が6度を下回る中、スタート前から降り始めた雨に徐々に体温を奪われて、低体温状態となり、失速。28・8キロ地点で一度立ち止まり、そのまま棄権した。4度目のマラソンで初の“失敗”。9月の大一番・MGCに向け、不安を残した。女子はルティ・アガ(25)=エチオピア=が2時間20分40秒で制し、初マラソンの一山麻緒(21)=ワコール=が2時間24分33秒で日本勢最高の7位だった。

 冷たい雨が体の自由とともに、闘争心をも奪っていった。日本記録保持者として初めてのフルマラソンとなった大迫は、日本新を越える高速ペースで進む先頭集団後方につけたが、徐々に躍動感を失い、中間点から失速。29キロ地点で棄権し、コースから外れると、震えながらえずいた。取材エリアには姿を見せず、大会事務局を通じて「スタート地点から寒くなって、体が動かなくなり棄権せざるを得ない状況でした」とコメント。4度目のマラソンで、初めての42・195キロの怖さを味わった。

 悪条件だったのは確か。1日の会見で話したようにMGCの“予行”として位置付けが強かったこともあるだろう。ただ、優勝したレゲセは、大会歴代2位の2時間4分台で走っており、世界との勝負を標榜する日本のエースとして、物足りなさが残った。テレビの解説を務めたシドニー五輪金メダリストの高橋尚子さんは「会見の時からピリピリしていた。自分の中に入り過ぎている感じがあった」と指摘した。精神面の余裕のなさは過酷な気象条件によって、あっさりと剥き出しにされた。

 好走を前提に、4日に都内で予定されていたイベントも中止が決定した。半年後のMGCに向け、立て直しを強いられることになる。瀬古リーダーは「MGCにいてもらわないと困る選手。無理をしてもメリットはない。逆に良かった」と話せば、高橋さんも「1度マラソンの厳しさを知れたことは悪くない。あとは次に生かせるかどうか」と期待を込めた。日本男子の復活をけん引してきた男。マラソンで初の“挫折”を、さらなる飛躍への糧とできるか。

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