【東京へ駆ける・吉田沙保里さん(2)】“霊長類最強女子”呼ばれてもおかしくない
2020年東京五輪に向けた企画「東京へ駆ける」。今回は、レスリング女子で2004年アテネ、08年北京、12年ロンドンと五輪3大会連続で金メダルを獲得し、今年1月に現役を引退した吉田沙保里さん(36)が登場。東京オリンピックへの期待や、4大会連続で出場した五輪を振り返るとともに、これまでかかわってきた人たちへの感謝の思いなどを語った。その2。
◇ ◇
-レスリングをやってみたくなることは。
「今は特にないですけど…。仕事をいろいろやったりとか、イベントとか。そういうのが自分にはすごく合っているかな、という感じなので。やりたいことをやれている感じはするので気持ちは落ち着いていますし、楽しく過ごしています」
-1試合だけ、現役時代の思い出の試合を挙げるとしたら。
「山本聖子さんと戦った試合(2003年全日本選手権決勝)ですね。アテネ五輪にも関わる試合だったので。本当に勝てる相手ではないな、と思っていた選手でした。その選手を倒して日本代表になれたのは大きなことでした。その勝利から自信をもちました。聖子ちゃんを倒したら世界チャンピオンになれると。そこまで計算していたので(笑)」
-五輪の良さはどこにあると思うか。
「注目してくれることですね。レスリングはマイナーだったので。五輪になれば、メダルをとったりして注目されるし、報道してもらえるし。五輪はすごいなって思っていたところです。戦う相手は、五輪も世界選手権もそんなに変わらないけど、なぜか注目は4年に一度ということだし。国を挙げてなので。全然違うなと思っていましたね」
-『霊長類最強女子』と呼ばれていたことについては。
「(男子レスリング・グレコローマンスタイル130キロ級で五輪3連覇した“霊長類最強の男”アレクサンドル)カレリンがそう呼ばれていて、(2012年の世界選手権で五輪と世界選手権を合わせて13大会連続世界一を果たし)カレリンの記録を超えたことで、そういうふうになったので。最初はエッ?と思いましたけど、だんだん慣れてきていましたし(笑)。あれが2012年だったので。言われてもおかしくないかなって。これだけ記録を伸ばしたら、そう呼ばれてもおかしくないかな、と思っていました」
-レスリングをしている子供たちへのメッセージがあれば。
「東京五輪・パラリンピックを生で見るチャンスでもあります。盛り上がり方とか雰囲気を見て、私たちも出たいとか、五輪っていいな、と思う子がたくさん増えると思うので。そういった機会を大事にしてほしいですね。なるべく多くの選手を見てもらって、刺激をもらってくれたら。少しでも多くの人たちが五輪に出たいとか、頑張りたいとか思ってくれたら。ただ、五輪だけが最終目標ではないので、それぞれの夢に向かって、夢を持ってくれたらうれしいですね」