MGC入り5人追加に陸連ホッ 福士復活は「経験と意地」と評価 世界との差も実感
「名古屋ウィメンズマラソン」(10日、ナゴヤドーム発着)
9月15日に行われる東京五輪マラソン代表選考会「マラソングランドチャンピオンシップ(MGC)」(東京)の出場権をかけたMGCシリーズ最終戦として行われ、福士加代子(ワコール)、上原美幸(第一生命)、前田彩里(ダイハツ)、谷本観月(天満屋)、池満綾乃(鹿児島銀行)が新たにMGC出場権を獲得した。女子は9人から14人に増えた。
これを受けて、日本陸連の尾県貢専務理事は「天気も味方してくれた。レース自体も素晴らしかった。5名のMGC出場者が出たことも非常にうれしく思う。まずはひと安心しております」と安堵(あんど)の表情。河野匡・長距離マラソンディレクターも「雨も、20キロ過ぎからだったので、選手がある程度体が温まった後の雨。それもよかった。懸念された風もあまり吹かなかった。コンディションもよかった」とレース環境に感謝した上で「選手が必死につかもうとしているその思いが非常によかった」と話した。
また両者とも、リオ五輪代表で1月末の大阪国際女子マラソンを転倒の影響から途中棄権し、中41日でのレースに臨んだ福士の力走に対し「大ベテランの福士さんが短い間で立て直し、素晴らしい走りをしてくれた。彼女の走りには経験と意地を感じた」(尾県専務理事)、「世界陸上のメダリスト、またリオ経験者である福士さんが加わったことで、MGCのレース展開が色々面白くなる。駆け引きにいろんな作用をもたらしてくれると思う。ここまでの苦労を逆にMGCで一気に爆発させてほしい」(河野ディレクター)とたたえた。
すでにMGCを持っていた岩出玲亜(アンダーアーマー)は、全体5位の2時間23分52秒で日本人トップ。これについては「特に(先頭と)離れてからの頑張り。最後のラップは非常にいいレベルで走りきった」(河野ディレクター)と、今後の可能性を感じさせる好走を高く評価した。また、上原ら若手のMGC入りにも成長を感じていた。
一方、「諸外国の選手たちの強さも受け止めなければいけない」と河野ディレクター。岩出と優勝したジョハネス(ナミビア)とは1分27秒差。世界トップと戦うことを考えれば、30キロ以降一気に離されたレース展開に危機感も示した。「最終的には東京五輪でどう戦うかが我々の使命」と話し、「五輪はこういうレースと異なるシチュエーションでレースが繰り広げられるので、一概には言えないが、現実には持ちタイムで大きな差があると認識している。いろんな結果を受け止めて、戦える準備を粛々とやっていきたい」と話した。