川内、公務員ラスト走で日本人2位 世陸目指す意向「ドーハに全て懸ける」

 瀬古リーダーからMGC出場を振られて、苦笑いの川内優輝
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 「びわ湖毎日マラソン」(10日、皇子山陸上競技場発着)

 今秋の「マラソングランドチャンピオンシップ(MGC)」出場と、世界選手権(ドーハ)代表選考会を兼ねて行われ、4月からプロに転向するため、これが公務員ラストマラソンとなった川内優輝(32)=埼玉県庁=は、2時間9分21秒で日本人2位の8位となった。川内はMGCよりも世界選手権を優先する意向を示し、世界選手権代表入りは確実となった。すでにMGC出場権を得ていた山本憲二(29)=マツダ=が2時間8分42秒で日本人トップの7位。10位の山本浩之(32)=コニカミノルタ、11位の河合代二(27)=トーエネック=の2人が、新たにMGC出場権を獲得した。

 悟りの境地に達したかのような表情で圧勝を予感させれば、突如苦悶(くもん)の表情で失速し、最後には不死鳥のようによみがえる。公務員としてのラストマラソンも、やはり“川内劇場”だった。1年半ぶりのサブテン(2時間10分切り)で日本人2位となり、世界切符をほぼ手中に。かねてから、誰もが目標とする東京五輪選考会のMGCよりも、前代未聞の午前0時スタートで苦手の暑さを回避できる世界選手権を優先する意向を示してきた男は、改めて「ドーハドーハドーハと思って走った。ドーハだけに全てを懸けます」と宣言した。

 もう1度、日の丸を背負いたくなったのには、理由がある。入賞まで3秒届かず9位に終わり、代表からの引退を表明した17年ロンドン世界選手権後に思った。「代表を辞める前に、仕事を辞めるのが先じゃないか」。毎日8時間勤務しながら、練習は2時間。公務員として働きながら、走ることは誇りだった。ただ、それがいつのまにか言い訳に変わっていた。

 「見方がいい人は働きながら頑張っているって言ってくれる。でも悪い人は公務員で暇だからできると」。13年以降自己ベストは伸びず、世界の舞台でも殻を破りきれない。凡走すれば、誹謗(ひぼう)中傷の手紙が届いた。重圧との葛藤。公務員ランナーとしての限界を感じた中で、モットーである“現状打破”に踏み切った。

 4月からはプロ生活が始まる。10月には世界選手権。そして、東京五輪についても残り1枠を争うタイム勝負のMGCファイナルチャレンジについては「スピードがつけば、まだ分かりませんよ」としており、可能性は残っている。「秋になれば見てろよ、という気持ちでいます」。無限の可能性が広がる“川内劇場~第2幕プロ編~”。きっとまた新たなドラマが生まれる。

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