高木美帆が世界新!女子初1分50秒の壁突破「この記録は自分が更新していく」

 「スピードスケート・W杯」(10日、ソルトレークシティー)

 高木美帆(24)=日体大助手=が女子1500メートルで1分49秒83の世界新記録をマークした。W杯の個人種目通算10勝目で、うち8勝は1500メートル。女子500メートルは小平奈緒(32)=相沢病院=が36秒49で制した。W杯で1000メートルを含め通算28勝目。男子500メートルは新浜立也(22)=高崎健康福祉大=が連日の日本新記録となる33秒79でW杯3勝目。村上右磨(村上電気)が34秒10で3位に入った。男子マススタートでは土屋良輔(メモリード)がW杯初勝利。高木美、新浜、小平はW杯種目別総合で、いずれも2位となった。

 天才スケーターが勲章を手にした。高木美が女子1500メートルで従来の記録を1秒02も更新。女子で初めて1分50秒の壁を突き抜け、世界新記録を確認すると思い切り両腕を突き上げた。

 「記録以上に、強い気持ちで滑れた。一つのレースに力を出し切れたことがうれしい」

 前の組を見て、想定より「速くいける」とペースアップを決断。序盤からエンジン全開で突っ込んだ。標高1400メートル超の高速リンクのカーブはバランスを崩す選手も少なくないが「ひるまずにいけた」。体がぶれることのない滑らかなフォームで駆け抜けた。

 湯田淳監督は「自分を冷静に分析しながら取り組めるのが強み」と評する。快挙の土台となったスプリント能力は、10代からオールラウンダーという将来像を明確に描き、種目を選ばず挑戦してきたからこそ花開いた。北海道・帯広南商高時代の恩師、東出俊一さんは「先見性と継続性があった」と自慢げだ。

 前週までの世界スプリント選手権と世界選手権の連戦などハードな日程に挑んだシーズンの締めくくり。24歳のエースが全てを尽くして最高の結果をつかんだが、まだ満足はしていない。「この記録は自分が更新していく」。尽きない向上心で天賦の才に磨きをかける。

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