「大相撲春場所・４日目」（１３日、エディオンアリーナ大阪）

　元大関で、両膝のけがなどにより西序二段４８枚目にまで転落した照ノ富士（２７）＝伊勢ケ浜＝が、元幕内で西５０枚目の天風（２７）＝尾車＝を小手投げで退け、２連勝とした。

　序二段で実現した元大関と、十両の優勝経験もある元幕内の好取組。場内の観客はまばらだったが、序二段の対戦とは思えないほどの拍手と歓声が沸き起こった。

　激しい当たりから、照ノ富士は右腕で相手を抱え、大関時代をほうふつさせる強烈な小手投げで土俵外へ吹っ飛ばした。腰痛などの影響で昨年秋から３場所連続で休場し、序二段まで転落した天風との対戦に「ケガのないようにね。お互いに…」と、複雑だった心境をのぞかせた。

　照ノ富士によると、モンゴルから初めて日本にきた１５歳のとき、相撲部屋体験で尾車親方（元大関琴風）が１週間、部屋に泊めてくれたことがあった。そのとき、一緒にゲームなどしたりして、相撲部屋のしきたりなどを教えてくれたのが天風だったという。「友達。思い出のある相手です。（相手が番付を）落としたときは心配した？もちろんです。今は同じ立場、お互いさまですよ。お互い（番付が）上がれればいい？そう願っています」と思いやった。

　これで２連勝。勝ち越しまであと２番としたが「当たりもふわっとしているしね。まわしを取っても、前に出られないしね。ひきつけとかも…。不安はありますよ」と口元を引き締めた。